むちうちで寝方や枕に迷ったら? 医師に伝えることと確認の順番
先生、追突事故のあと整形外科でむちうちと言われました。夜、横になると首がつらくて、どんな姿勢で寝ればいいのか、枕は今のままでいいのか分からなくなってしまったんです。むちうちのときの正しい寝方を教えてもらえますか?
眠る時間がつらいと、一日中気持ちが落ち着かないですよね。最初にお伝えしたいのは、むちうちのときにどの姿勢で寝るか、枕をどうするかは、診察した医師に確認していただきたいということです。首のけがの状態は人によって違い、私がここで「この寝方が正解です」と言えるものではありません。今日は、正しい寝方を探す代わりに「眠るときのつらさを医師にどう伝え、何を確認するか」を一緒に整理していきましょう。
寝る姿勢や枕は「医師の指示」が出発点
ネットで検索すると、枕の高さや寝る向きについていろいろな説が出てきて、どれを試せばいいのか迷ってしまいます。
迷うのは自然なことです。ただ、ネットの一般論は、あなたの首を診たうえで書かれたものではありません。日本損害保険協会は、医療機関を受診し、医師の指示に従い適切に治療を受けるよう案内しています。寝る姿勢や枕のことも、その「医師の指示」の中で確認するのがいちばん確実です。
寝方くらいなら、自分で工夫してもいい気がしていました。
気持ちはよく分かります。でも、首の状態に合わせて寝るときにどう過ごすかを判断するのは医師です。症状の出方や経過には個人差があるので、家族や知り合いがうまくいった方法が自分に合うとも限りません。試したいことがあれば、試す前に医師に聞いてみてください。
受診のときに医師に確認したいこと
診察の時間は短いので、何を聞けばいいのか、いつも頭が真っ白になってしまいます。
それなら、聞きたいことを先に書き出しておきましょう。寝るときのことは、診察室では言い出しにくい話題かもしれません。下の表を参考に、自分に当てはまるものを選んでメモにしておくと、落ち着いて質問できます。
| 確認したいこと | 医師への聞き方の例 |
|---|---|
| 寝る姿勢 | 「仰向けや横向きなど、避けたほうがよい姿勢はありますか」 |
| 枕 | 「今使っている枕のままでよいですか。気をつけることはありますか」 |
| 首の固定具 | 「寝るときは外してよいですか。着けたまま寝るべきですか」 |
| 起き上がり方 | 「朝起き上がるときに首がつらいのですが、気をつけることはありますか」 |
| 眠れないとき | 「痛みで眠れない日が続いています。相談できることはありますか」 |
| 薬 | 「処方された薬は寝る前に飲んでよいですか。翌朝の運転は大丈夫ですか」 |
枕のことまで聞いていいとは思っていませんでした。
遠慮はいりません。今使っている枕の種類や高さが気になるなら、実物の写真をスマートフォンで撮って見せるのも一つの方法です。答えをもらったら、その場でメモに残しておくと、家に帰ってから迷わずに済みます。分からない言葉があれば聞き返してください。
眠りのつらさを伝えるためのメモ
「眠れません」と伝えるだけでは足りないでしょうか?
それだけでも大切な情報ですが、具体的なほうが医師に伝わりやすくなります。何日ごろから、どんな姿勢のときに首がつらいのか、夜中に目が覚めるのか、朝起きたときの首の状態はどうか、などを書いておくとよいですね。うまく眠れた日のことも書いておくと、比べやすくなります。
| メモしておきたいこと | 書き方の例 |
|---|---|
| いつから | 「事故の翌々日の夜から」 |
| どんなとき | 「横になって首の向きを変えたとき」 |
| 夜中の様子 | 「首がつらくて何度か目が覚めた」 |
| 朝の様子 | 「起き上がるときに首が重い」 |
| 首以外の変化 | 「頭痛がある」「手がしびれる」「日中ぼんやりする」 |
首とは関係なさそうなことも書いたほうがいいですか?
はい、首と関係があるかどうかを判断するのは医師なので、気づいたことは分けずに書いておきましょう。江戸川区のリーフレットでは、交通事故などで頭を打ったり強く揺さぶられたりすると脳損傷が起こることがあるとして、主な症状の中に睡眠障害、頭痛、めまい、集中できないことなどを挙げています。眠りの変化も、受診のときに伝える大事な情報です。記録の残し方は「ドライブレコーダーの映像など事故の証拠はどう残す? 記録の順番」でも紹介しています。
眠れない状態が続くときに知っておきたいこと
痛みのせいなのか、事故のことを思い出すせいなのか、寝つけない夜が続いています。
つらいですね。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、眠れない、眠っても休養がとれた感覚がない、日中の眠気や居眠りといった睡眠に関連する症状は、睡眠環境や生活習慣、嗜好品によって生じる場合と、睡眠障害によって生じる場合があるとしています。そのうえで、ガイドに書かれた内容を実践しても眠れない、休養感が得られない、日中の眠気が強いといった症状が続き、日中の生活に影響している場合は、速やかに医師に相談するよう呼びかけています。
痛みと眠りは関係があるのでしょうか?
同じガイドには、体のどこかに慢性的な痛みを持つ人の多くが睡眠の問題を併せ持つこと、痛みが眠りに影響するだけでなく、眠りが悪くなると痛みにも影響するという関係がわかってきていることが書かれています。そして、慢性的な痛みと睡眠の悩みがある人は、医療機関で相談するよう案内しています。これは慢性的な痛み全般についての話で、むちうちに限った内容ではありません。ただ「痛みで眠れない」と感じているなら、我慢せずに医師へ伝えてよい理由の一つになると思います。
首の固定具や処方された薬があるとき
病院で首の固定具を渡されました。寝るときも着けたままのほうがいいのでしょうか?
固定具を着ける時間や、寝るときに外してよいかは、それを出した医師の指示に従ってください。ここで私が「外して大丈夫です」「着けたままにしてください」と言うことはできません。指示がはっきりしないときは、次の受診を待たずに医療機関に問い合わせてもよいと思います。
痛み止めをもらっていて、寝る前に飲んでもいいのか気になっています。
飲む時間や飲み方は、処方した医師と、薬を受け取る薬局の薬剤師に確認してください。警察庁の資料では、医療用の薬は医師や薬剤師の指示を守って運転し、不安がある場合は医師や薬剤師に相談するよう案内しています。寝る前に飲む薬があるなら、翌朝の運転に影響がないかも一緒に聞いておくと安心です。
早めに医療機関へ相談したいとき
夜中や朝に、いつもと違う症状が出たらどうすればいいですか?
日本損害保険協会は、事故の直後には大したけがでないと思っても、あとから症状が発生したり、重いけがが判明したりすることがあるとしています。また、至急医療機関にかかる必要のあるけがの場合は、まず医師への受診を優先し、落ち着いてから保険会社に連絡するよう案内しています。手続きのことは後からでも相談できるので、体のことを先に考えてください。
事故のとき、頭も少しぶつけていたんです。
それなら、江戸川区のリーフレットも参考になります。頭を打った直後に症状がなく、数時間から数日、場合によってはさらに経過してから症状が現れることがあるとして、頭を打った後に次のような症状がある時には医療機関を受診するよう案内しています。頭を打っていない場合でも、気になる症状があれば早めに医療機関に相談してください。
| 頭を打った後に受診したい症状 (江戸川区リーフレットより) |
|---|
| 意識状態がいつもと違う |
| 事故後の記憶がない |
| 手足に力が入りにくい |
| 手足がしびれる |
| けいれん・吐き気 |
| めまい・頭痛 |
朝起きたら手がしびれていたことがあって、寝方のせいかなと思っていました。
原因を自分で決めつけずに、医療機関に相談してください。寝方のせいなのか、別の理由があるのかを判断するのは医師です。症状がいつから出たのか、どの姿勢のあとだったのかを伝えると、医師も状況をつかみやすくなります。症状が出る時期については「交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング」、頭痛やめまいについては「交通事故の頭痛やめまいが後から出たら? 最初に医療機関へ行く理由」も参考にしてください。
整骨院に通う場合の順番
首のことで整骨院にも通いたいと思っています。寝方のことも整骨院で相談すればいいですか?
寝る姿勢や枕、固定具をどうするかといった判断は、医師が行うものです。整骨院では、医師から言われた内容を伺い、痛みの状態を確認しながら施術を行います。寝るときのことで迷ったら、整骨院から「医師に確認してください」とお伝えすることになります。医療機関への受診は続けてください。
整骨院に通う前に、やっておくことはありますか?
順番が大切です。日本損害保険協会は、医療機関以外ではレントゲンなどの画像検査ができない場合があるため、整骨院などでのリハビリを希望する場合は医師と相談のうえにするのがよいとしています。整形外科との併用の流れは「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」に、寝るとき以外の過ごし方は「むちうちの日常生活で注意することは? 医師に確認したい項目と順番」にまとめています。
よくある質問
首が痛くても、受診する前にまず寝方を工夫して様子を見てもいいですか?
寝方で様子を見る前に、医療機関で医師の診察を受けてください。国土交通省は、その場では軽傷だと思っても、あとで意外とけがが重かったという例もあるとして、速やかに医師の診断などを受けるよう案内しています。また、事故後に速やかに受診しない場合には、交通事故との因果関係が認められないことがあるとしています。
どんな枕を買えばいいか、整骨院で教えてもらえますか?
特定の枕や寝具をおすすめすることはしていません。首の状態に合わせた寝具の判断は医師に確認していただくものです。今の枕を使い続けてよいか、気をつけることがあるかを、受診のときに医師へ聞いてみてください。
痛くて眠れないので、寝る前にお酒を飲んでもいいでしょうか?
厚生労働省の睡眠ガイドでは、晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと (寝酒) は、睡眠の質を悪化させる可能性があるとしています。飲んでいる薬がある場合は、お酒のことも含めて医師や薬剤師に聞いておくと安心です。眠れない状態が続くときは、お酒に頼らず医師に相談してください。
眠れない日が続いているのは、気持ちの問題でしょうか?
気持ちの問題と決めつけないでください。厚生労働省の睡眠ガイドでは、ガイドに書かれた内容を実践しても眠れない、休養感が得られない、日中の眠気が強いといった症状が続き、日中の生活に影響している場合は、速やかに医師に相談するよう呼びかけています。痛みのことも、事故のことを思い出してしまうことも、そのまま医師に伝えて大丈夫です。
正しい寝方を探してばかりいましたが、まずは眠りの様子をメモして医師に聞けばいいと分かって、少し落ち着きました。
それで大丈夫です。寝る姿勢や枕、固定具のことは医師に、薬のことは医師や薬剤師に、手続きは保険会社に、と分けて確認していきましょう。症状の出方や経過には個人差があるので、ほかの人と比べて焦る必要はありません。医師と相談して整骨院での施術を受けることになった場合は、痛みの状態を確認しながら施術を行います。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



