交通事故で腰痛が後から出たら? 受診の順番と記録の残し方
先生、数日前に信号待ちで後ろから追突されました。そのときは首が少し気になる程度だったのですが、今朝から腰が重くて、椅子から立ち上がるときに痛みます。事故から時間がたっているのに、今さら病院に行っても大丈夫なのでしょうか?
腰の痛みがあるなかで、よく相談してくださいました。今からでも、できるだけ早く整形外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。痛みの原因を確かめるのは医師の役割で、整骨院でできることではありません。そのうえで、あとから困らないように「何を記録しておくか」も一緒に確認していきましょう。
事故から数日たって腰が痛くなってきたとき
事故の直後は腰のことはまったく意識していませんでした。それでも事故と関係があるのでしょうか?
事故と関係があるかどうかを判断するのは医師で、私が決めることはできません。ただ、国土交通省も「その場では軽傷だと思っても、あとで意外とケガが重かったという例もあります」と案内しています。事故の直後は緊張や驚きで、体の不調に気づきにくいことがあるとも言われています。痛みが出る時期や強さには個人差があるので、「あとから出たから関係ない」と自分で決めないことが大切です。
首のことは前に少し調べたのですが、腰でも同じように考えればいいですか?
後から症状が出たときの基本の考え方は、首でも腰でも同じです。首の症状が出る時期については「交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング」でまとめています。今回は、腰の痛みで受診するときに気をつけたい点と、記録の残し方を中心にお話しします。
腰の痛みで受診するときの順番
何から順番に動けばいいのか、頭が混乱しています。
交通事故のあとは、警察への届け出、医療機関での診察、保険会社への連絡、そして医師に相談したうえで整骨院、という順番が基本です。警察への届け出がまだなら、それが最初です。届け出が済んでいる方は、次の表のように進めると迷いにくくなります。
| 順番 | すること | ひとこと |
|---|---|---|
| 1 | 整形外科などの医療機関で医師の診察を受ける | 腰だけでなく、首など気になる場所はすべて伝える |
| 2 | 事故を届け出た警察署に相談する | 物損で届けている場合、人身事故への切り替えを確認する |
| 3 | 保険会社へ連絡する | 後から腰の痛みが出て受診したことを伝える |
| 4 | 整骨院への通院は医師に相談してから | 保険会社にも事前に伝えておく |
どうして医療機関を先にするのですか?
理由は二つあります。一つは体のためです。日本整形外科学会の一般向けの解説では、腰痛にはいろいろな原因があり、正確な診断が重要だとされています。骨折などがないかを画像検査で確かめられるのは医療機関で、整骨院ではできません。
もう一つは手続きのためです。国土交通省は、事故後に速やかに受診しない場合、交通事故との因果関係 (事故が原因でけがをしたというつながり) が認められないことがあると注意をうながしています。日本損害保険協会も、受診が遅れると交通事故によるケガか判断できず、賠償を受けられなくなるおそれがあると案内しています。
警察には物損事故として届けてしまったのですが、それも関係ありますか?
けがをしている場合の届け出の扱いは、事故を届け出た警察署に確認してください。切り替えの理由や手順は「物損事故から人身事故への切り替えはなぜ必要? 理由と手順の順番」で、警察に出す書類については「交通事故の診断書を警察に提出するタイミングは? 取り方と順番」で説明しています。
腰の痛みを医師に伝えるときのコツ
「腰が痛いです」だけだと、うまく伝わらない気がします。
腰の痛みは、どんな動きや姿勢でつらいかを具体的に伝えると、医師が状態を把握しやすくなります。たとえば「座っているとつらい」「前かがみになると痛い」「朝の起き上がりがつらい」といった言い方です。痛みが腰だけなのか、お尻や太もも、足のほうまで広がっているのかも大事な情報です。
| 伝えること | 腰の場合の例 |
|---|---|
| 痛みに気づいた時期 | 事故の数日後の朝、起き上がるときに気づいた |
| 痛む場所 | 腰の右側、お尻のあたりまで |
| つらい動きや姿勢 | 長く座ったあと、前かがみ、寝返り |
| 足の症状 | 足のしびれや力の入りにくさがあるか |
| 生活への影響 | 通勤の電車で立っているのがつらい、仕事を早退した |
| 首など他の場所 | 腰以外に気になる場所はすべて |
首の痛みのほうが先に気になっていたので、腰はついでのように言ってしまいそうです。
軽く感じる場所も含めて、最初の受診で全部伝えておくことをおすすめします。あとから別の場所を伝えると、その痛みが事故によるものかどうかの確認に時間がかかることがあるからです。症状を大げさに言う必要はありませんが、遠慮して言わずにおくのも避けてください。
残しておきたい記録の種類
記録を残しておいたほうがいいと聞きますが、具体的には何を取っておけばいいのでしょうか?
国土交通省は、事故直後の記憶が鮮明なうちに、事故の経過や写真などの記録を残しておくことが重要だと案内しています。また自賠責保険 (車を持つ人が必ず入る保険) に被害者が直接請求するときの書類として、医師の診断書や診療報酬明細書、通院交通費明細書、仕事を休んだ場合の休業損害証明書などが挙げられています。これらの書類のもとになる記録を、ふだんから手元に残しておくイメージです。
| 記録の種類 | 残しておくもの | 役に立つ場面 |
|---|---|---|
| 事故の記録 | 事故の日時と場所、状況のメモ、現場や車の写真、相手の連絡先 | 保険会社や警察に状況を説明するとき |
| 医療機関の記録 | 受診した日、医師に言われたこと、もらった書類の控え | 次の受診や保険会社とのやり取り |
| 整骨院の記録 | 通った日、医師や保険会社に伝えた日 | 通院の経過を確認するとき |
| お金の記録 | 自分で支払った費用の領収書、薬局の領収書 | 費用を請求するとき |
| 交通費の記録 | 通院に使った交通手段と金額のメモ、タクシーの領収書 | 通院交通費を請求するとき |
| 仕事の記録 | 休んだ日や早退の記録、有給休暇を使った記録 | 休業損害を請求するとき |
領収書は、病院の窓口でもらったものを取っておけばいいですか?
はい。日本損害保険協会は、治療費を自分で負担した場合は必ず領収書を保管し、保険会社に請求するには領収書の原本の提出が必要だと案内しています。薬局の領収書や、タクシーを使ったときの領収書も同じように取っておくと安心です。電車やバスで通う場合は、利用した区間と金額を通院ごとにメモしておきましょう。
交通費や仕事を休んだ分も、全部支払われるのでしょうか?
国の自賠責保険の支払基準では、通院の交通費は「必要かつ妥当な実費」とされていて、何でも支払われるわけではありません。仕事を休んだ場合の扱いも、収入が減ったか、有給休暇を使ったかなどの条件によって変わります。実際にどこまで対象になるかは事故の状況や保険の契約によって違うので、保険会社に確認してください。保険会社への伝え方は「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」にまとめています。
痛みの経過メモのつけ方
腰の痛みの様子も、毎日書いておいたほうがいいのでしょうか?
毎日きっちりでなくてもかまいませんが、痛みの経過を短くメモしておくと役に立ちます。受診のときに「前回からどう変わったか」を医師に伝えやすくなりますし、保険会社とやり取りするときにも、記憶だけに頼らずに済みます。手帳でもスマートフォンのメモでも、続けやすい方法で大丈夫です。
どんなことを書けばいいですか?
次のような項目を一行ずつ書くくらいで十分です。痛みの強さは、自分なりの言葉で書いておけば問題ありません。大事なのは、その日の事実をそのまま書くことです。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 日付 | 受診日やメモした日 |
| 痛む場所 | 腰の右側、お尻のあたり |
| 痛みの様子 | 朝の起き上がりがつらい、夕方には少し楽 |
| つらかった動作 | 靴下をはく、長く座る、荷物を持つ |
| 生活や仕事への影響 | 通勤で座れる電車を選んだ、仕事を早退した |
| 受診・通院 | 整形外科を受診、医師から言われたこと |
痛みが軽い日は、書かなくてもいいですか?
軽い日こそ、「今日は楽だった」と書いておくことをおすすめします。症状の経過には個人差があり、良い日と悪い日をくり返すこともあります。軽い日も含めて残しておくと、医師が経過を判断する材料になります。
記録を残すときに気をつけたいこと
記録を残すときに、やってはいけないことはありますか?
一番気をつけてほしいのは、事実と違うことを書かないことです。痛みを大きく書いたり、通っていない日を書いたりすると、かえって記録全体が信用されにくくなります。通院は、症状に応じて医師が必要と判断した分だけにしてください。慰謝料の仕組みについては「交通事故の慰謝料は自賠責基準でどう計算する? 通院日数と期間の仕組み」で説明していますが、通院の回数を記録のために増やすことはやめてください。
記録はいつまで取っておけばいいのでしょう?
国土交通省は、記録は賠償交渉が終わるまで残しておけば安心だと案内しています。また自賠責保険に被害者が請求できる期間は、けがの場合、事故発生の翌日から3年以内とされています。手続きが終わるまでは、領収書やメモを捨てずにまとめて保管しておきましょう。
整骨院に通うことになったら、整骨院でも記録をつけてもらえるのですか?
整骨院では施術の内容や通院日を記録していますが、ご自身でも通った日と、医師に相談した内容をメモしておくと安心です。整骨院に通う場合も、整形外科などで医師の診察を受け続け、症状の確認をしてもらうことが大切です。併用の順番は「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」をご覧ください。
よくある質問
事故から何日もたってから腰が痛くなった場合でも、受診して意味はありますか?
痛みに気づいた時点で、できるだけ早く医療機関を受診してください。国土交通省は、速やかに受診しない場合に交通事故との因果関係が認められないことがあると案内しています。受診のときは、痛みに気づいた時期と事故のことを医師にそのまま伝えましょう。
腰の痛みで、いきなり整骨院に行ってもいいでしょうか?
まず整形外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。腰の痛みの原因を確かめたり、骨折などがないかを画像検査で確認したりするのは医療機関の役割です。整骨院への通院は、医師に相談し、保険会社にも連絡してからにしましょう。
痛みのメモは、保険会社に必ず出さないといけないものですか?
痛みのメモは、提出が決まっている書類ではありません。医師に経過を伝えたり、保険会社とのやり取りで日付や出来事を確認したりするための、自分用の記録だと考えてください。どんな書類が必要かは保険会社によって案内が異なるので、保険会社に確認しましょう。
交通費の領収書をなくしてしまったら、どうすればいいですか?
まずは保険会社に、なくしてしまったことを伝えて扱いを確認してください。電車やバスの場合は、利用した区間と金額をメモしておくことで説明しやすくなります。これからの分は、もらったその日のうちにファイルに入れる習慣をつけておくと安心です。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



