交通事故で過失割合があるときの通院費は? 保険の考え方と確認の順番
先生、交差点で車同士の事故に遭いました。相手の保険会社から「あなたにも過失割合があります」と言われて、首の痛みで通院している費用がどうなるのか不安です。自分にも過失があると、通院費は払ってもらえないのでしょうか?
不安になりますよね。先にお伝えすると、過失割合があるからといって、すぐに通院費がまったく出なくなるわけではありません。ただ、相手の保険から支払われる額が変わったり、窓口での支払いの仕方が変わったりすることがあります。今日は公的な情報で確認できる仕組みだけを順番にお話しします。具体的な割合の判断や交渉は、保険会社や弁護士、相談窓口の役割になることも合わせて説明しますね。
過失割合とは 誰がどう決めるもの?
そもそも過失割合って、何を表しているんですか?
事故の責任を、加害者と被害者でどう分けるかを表したものです。日本損害保険協会は、民法の「過失相殺 (かしつそうさい)」を、被害者にも責任がある場合にその割合に応じて損害賠償額が減額されることだと説明しています。事故の責任を公平に分ける仕組みで、個々の事故の状況に応じて決まるとされています。
その割合は、誰が決めるのでしょうか?
日本損害保険協会は、損害賠償額は当事者間の協議などで合意した過失割合に応じて決まると説明しています。実際には保険会社の担当者を通じて話が進むことが多いでしょう。整骨院は割合を決める立場ではありませんし、私が「この事故は何割です」と判断することもできません。割合に疑問があるときの相談先は、後ほど表にまとめます。
過失割合があると通院費はどうなる? 過失相殺の計算の仕組み
割合があると、通院費からいくら引かれるんですか?
相手の保険から受け取る損害賠償は、一般的に「損害の総額」から自分の過失の分を差し引いて考えます。日本損害保険協会が示している計算式は、損害賠償額 = 総損害額 × (100% − 被害者の過失割合) です。ここでいう損害には、治療費や施術費、通院の交通費、休業損害、慰謝料などが含まれます。通院費だけが別扱いになるのではなく、損害全体にかかる考え方です。
| 項目 | 日本損害保険協会が示す例 |
|---|---|
| 総損害額 | 100万円 |
| 被害者の責任 (過失割合) | 40% |
| 計算 | 100万円 × (100% − 40%) |
| 相手から賠償される額 | 60万円 |
自分の過失の分は、自分で負担するということですか?
日本損害保険協会は、一般的な損害賠償では被害者に過失がある場合、その割合だけ減額される、つまり被害者の自己負担になることが原則だと説明しています。ただし、自賠責保険 (車を持つ人が必ず入る保険) には別の決まりがあります。そして、自分が入っている保険で補える場合もあります。順番に見ていきましょう。
自賠責保険は「重大な過失」があるときに減額される
自賠責保険だと、過失の扱いが違うんですか?
はい。日本損害保険協会は、自賠責保険は被害者保護の観点から、被害者に重大な過失がない限り損害賠償額は減額されないと説明しています。国土交通省のよくある質問でも、被害者の過失割合が70%以上でなければ減額しないことになっているとされています。ケガ (傷害) の場合の決まりは、金融庁・国土交通省の支払基準で次のように定められています。
| 被害者の過失割合 | 傷害による損害の減額 (支払基準) |
|---|---|
| 7割未満 | 減額なし |
| 7割以上10割未満 | 2割減額 |
実際にはどんな計算になるんでしょう?
日本損害保険協会は、被害者の過失が85%のケガの例を挙げています。傷害の支払限度額は120万円で、2割の減額になるため、120万円 × (100% − 20%) で支払限度額は96万円になるという説明です。また支払基準には、傷害による損害額が20万円未満の場合はその額とし、減額で20万円以下になる場合は20万円とする、という定めもあります。被害者の過失が70%未満で、ケガの総損害額が120万円以下であれば、自賠責保険で認定された額は全額支払われると同協会は説明しています。
自賠責の範囲を超えた分はどうなるんですか?
自賠責保険の傷害の限度額を超える部分は、相手の任意保険 (自分で選んで入る自動車保険) などに請求することになり、そちらでは先ほどの過失相殺の考え方で計算されるのが一般的です。自賠責保険と施術費の関係は 「交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ」 でも説明しています。
相手の保険会社が窓口での直接払いをしないことがある
相手の保険会社から「今回は治療費の直接払いはできません」と言われる人もいると聞きました。過失割合と関係があるんですか?
関係することがあります。日本損害保険協会によると、医療機関への直接支払いは保険会社のサービスで、被害者の過失割合が大きい場合には行わないことがあります。加害者と被害者で事故状況の主張が食い違い、加害者の過失が明らかに大きいと判断できない場合も同様だとされています。過失割合に応じて賠償額が決まるため、保険会社が本来払うべき額より多く払ってしまう可能性があるから、という説明です。
そうなると、いったん自分で払うことになるんですね。
そういう場合があります。日本損害保険協会は、自分で負担した治療費を保険会社に請求するには領収書の原本の提出が必要だとしています。領収書は捨てずに、日付順にまとめて保管しておいてください。通院の交通費も、支払基準では通院に要する交通費として必要かつ妥当な実費が対象とされているので、記録を残しておくと確認しやすくなります。
立て替えが必要になったときの選択肢
立て替えが続くと家計が心配です。何か方法はありますか?
日本損害保険協会は、立て替えの負担を軽くする方法として次のようなものを挙げています。どれが使えるかは事故の状況や契約内容で変わるので、保険会社に確認しながら選んでください。
| 方法 | 日本損害保険協会の説明の要点 |
|---|---|
| 相手の自動車保険からの先払い | ケガの状態や経済状況などによっては、示談前に賠償額の一部が支払われることがある。取り扱いは保険会社による |
| 自分の人身傷害補償保険 | 被害者の過失割合に関係なく、実際に負った損害が保険金額の範囲内で支払われる。支払われた分は後日、相手からの賠償金から差し引かれる |
| 自分の搭乗者傷害保険 | あらかじめ決められた金額が支払われる |
| 相手の自賠責保険の仮渡金 | 示談前でも当座の費用として請求できる。1回の事故につき1度のみ。支払われた額は確定した賠償額から差し引かれる |
自分の保険を使うと、相手からももらえて二重になるんですか?
契約内容によって異なりますが、日本損害保険協会は、損害保険は基本的に実際に発生した損害額に対して支払われ、同じ治療費を相手の保険会社と自分の保険会社から重複して受け取ることはできないと説明しています。人身傷害補償保険の分が後で差し引かれるのもそのためです。一方で搭乗者傷害保険は、損害賠償金とは別に一定の金額が支払われる保険のため、後日差し引かれることはないと同協会は説明しています。自分の契約に何が付いているかは、保険証券を見るか、加入先の保険会社に問い合わせるのが確実です。
健康保険は使えないと思っていました。
国土交通省は、自動車事故によるケガで治療を受ける時でも、健康保険などの社会保険や労災保険を使えるとしています。その場合は第三者行為 (他人の行為が原因のケガ) の届出が必要で、江戸川区の国民健康保険では、届出をすれば国保を使って診療を受けられ、診療を受ける前に必ず国民健康保険給付係に連絡するよう案内しています。日本損害保険協会は、国や健康保険組合などが過失割合に応じて給付分を加害者に請求すると説明しています。通勤中の事故の場合は 「通勤中の交通事故は労災と自賠責どちらを使う? 選び方と手続きの順番」 も参考にしてください。
過失割合があっても変わらない 通院の順番
過失があると言われても、通院の進め方そのものは同じですか?
順番は同じです。まず警察に届け出て、整形外科などの医療機関で医師の診察を受けます。そのうえで自分の保険会社と相手の保険会社に連絡し、整骨院への通院を考えるときは医師に相談してから保険会社にも伝えてください。日本損害保険協会も、整骨院などでのリハビリを希望する場合は医師と相談のうえで、としています。
| 順番 | やること | 過失割合があるときに確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 警察へ届け出る | ケガがあるときは人身事故として届け出る |
| 2 | 医療機関で医師の診察を受ける | 症状の判断は医師が行う |
| 3 | 保険会社へ連絡する | 直接払いの有無、自分の保険 (人身傷害補償保険など) の契約内容 |
| 4 | 医師に相談のうえ整骨院へ | 施術費の扱いを保険会社に確認しておく |
| 5 | 領収書・記録を保管する | 立て替えた費用は領収書の原本で請求する |
費用のことが気になって、通院を控えたほうがいいのか迷ってしまいます。
通院は、費用の損得ではなく症状に応じて必要な分だけ、というのが基本です。痛みがあるのに我慢するのも、必要以上に通うのも、どちらもおすすめできません。症状や経過には個人差があるので、通院の頻度や期間は医師と相談して決めてください。整骨院と整形外科の通い方は 「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」 にまとめています。
過失割合に納得できないときの相談先
提示された割合に納得できないときは、どうすればいいですか?
日本損害保険協会は、過失割合や損害賠償額に疑問や不安がある場合は、保険会社の担当者に質問したり、弁護士などの専門家に相談したりするよう案内しています。一度示談をすると内容の変更や修正はできないので、疑問を残したまま示談しないことが大切です。江戸川区では、区役所で交通事故相談員 (元警察官) による相談を月曜日から木曜日に行っていて、施設管理課交通安全推進係で事前予約を受け付けています。
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 過失割合の根拠や支払いの説明 | 相手の保険会社、自分の保険会社 |
| 割合や賠償額に納得できない | 弁護士などの専門家 |
| 何から手をつけるか分からない | 江戸川区の交通事故相談 (事前予約制) |
| 症状や通院の必要性 | 医師 |
よくある質問
自分にも少し過失があると言われました。整骨院には通えなくなりますか?
過失があるというだけで通えなくなるわけではありません。ただ、相手の保険から支払われる額や支払い方が変わることがあります。まず医療機関で医師の診察を受け、整骨院への通院は医師に相談のうえで保険会社にも連絡してください。
自賠責保険は、過失が何割から減額されるのですか?
国土交通省は、被害者の過失割合が70%以上でなければ減額しないとしています。支払基準では、傷害の場合は7割以上10割未満で2割減額です。適用される基準は事故の日によって異なることがあるので、保険会社に確認してください。
相手の保険会社が直接払いをしてくれないときは、どうすればいいですか?
日本損害保険協会は、過失割合が大きい場合などに直接払いが行われないことがあるとしています。立て替えの負担を減らす方法として、相手の保険の先払い、自分の人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険、自賠責保険の仮渡金があります。どれが使えるかは契約内容などで変わるので、保険会社に相談し、領収書の原本は保管しておいてください。
過失割合の話は、まず保険会社に根拠を聞いて、納得できなければ専門家に相談すればいいんですね。通院のことは医師と相談します。
それで大丈夫です。割合や金額のことは保険会社や弁護士などに、症状のことは医師に、と相談先を分けておくと落ち着いて進められます。保険の連絡で聞かれることは 「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」 も見てみてください。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



