交通事故の頭痛やめまいが後から出たら? 最初に医療機関へ行く理由
先生、先週追突事故に遭いました。首の違和感は少しあったのですが、ここ数日、頭がずきずきしたり、立ち上がったときにふらっとしたりします。首のこりから来ているのかなと思って、整骨院でみてもらえないかと考えたのですが、どうでしょうか?
相談してくださってありがとうございます。先にお伝えすると、頭痛やめまいは、まず整形外科や脳神経外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。頭痛やめまいの原因を確かめるのは医師の役割で、整骨院で判断できることではありません。今日は「なぜ医療機関が先なのか」と「急いだほうがよい症状の目安」を中心にお話しします。
事故のあとに頭痛やめまいが出てきたとき
事故の直後は何ともなかったんです。数日たってから出てきた頭痛でも、事故と関係があるのでしょうか?
事故と関係があるかどうかを判断するのは医師で、私が決めることはできません。ただ、日本損害保険協会は「事故の直後には大したケガでないと思っても、あとから症状が発生したり、重いケガが判明したりすることもあります」と案内しています。国土交通省も、その場では軽傷だと思っても、あとでけがが重かったという例があるとして、速やかに医師の診察を受けるよう呼びかけています。症状が出る時期や強さには個人差があるので、「後から出たから関係ない」と自分で決めないことが大切です。
首のことは前に少し調べました。むちうちでも頭痛が出ると読んだのですが。
たしかに、むちうちでも頭痛やめまいが出ることがあります。首の症状が出る時期については「交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング」にまとめています。ただ、頭痛やめまいは首以外の原因で起こることもあります。だからこそ「首のこりだろう」と自分で決めずに、医師に確かめてもらう必要があるんです。
頭痛・めまいで最初に医療機関へ行く理由
腰や首の痛みと比べて、頭痛やめまいは何が違うのですか?
いちばんの違いは、頭や脳に関わる原因の可能性があることです。江戸川区が発行しているMTBI (軽度外傷性脳損傷、頭への衝撃で脳が傷つくこと) のリーフレットでは、原因の一つに交通事故が挙げられていて、症状の例として頭痛や吐き気、めまい、睡眠障害などが並んでいます。頭を直接ぶつけていなくても、強く揺さぶられることで脳が傷つくことがあるとも書かれています。
また、国土交通省は、交通事故などで体に衝撃が加わったときに起こることがある脳脊髄液減少症 (脳や脊髄のまわりの液体が漏れる状態) について案内しています。そこでも、頭痛や首の痛み、めまい、吐き気、耳鳴り、疲れやすさ、不眠などさまざまな症状が現れることがあると説明されています。どれに当たるのか、あるいはどれにも当たらないのかは、見た目や話だけでは分かりません。
| 頭痛・めまいの背景として公的機関や学会が挙げているものの例 | 出典 | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| むちうち (首のけが) にともなう症状 | 日本整形外科学会の一般向け解説 (むちうちの記事で紹介) | 医療機関 (医師が判断) |
| MTBI (頭への衝撃による脳のけが) | 江戸川区のリーフレット | 医療機関 (医師が判断) |
| 脳脊髄液減少症 | 国土交通省の案内 | 医療機関 (医師が判断) |
| 上のどれでもない別の原因 | ― | 医療機関 (医師が判断) |
どの欄も「医療機関」なんですね。
そうなんです。国土交通省の案内では、医療機関で脳や脊髄のMRI、CTなどの検査を行うと書かれています。こうした画像検査は医療機関で受けるもので、整骨院では受けられません。この表は「自分はこれだ」と当てはめるためのものではなく、原因がいくつも考えられるので医師に確かめてもらう必要がある、ということを示すためのものです。
すぐに救急車や救急相談を考えたい症状
今の頭痛はがまんできる程度なんですが、どんなときに急いだほうがいいのですか?
総務省消防庁の救急車利用リーフレット (成人版) では、突然こうした症状が出たときは重大な病気やけがの可能性があるとして、救急車を呼ぶ目安が挙げられています。頭や手足、意識に関わるものを表にしました。
| 消防庁のリーフレットで挙げられている症状の例 (大人) |
|---|
| 突然の激しい頭痛 |
| 支えなしで立てないぐらい急にふらつく |
| 突然、周りが二重に見える |
| 見える範囲が狭くなる |
| ろれつがまわりにくく、うまく話せない |
| 突然のしびれ |
| 突然、片方の腕や足に力が入らなくなる |
| 意識がない (返事がない) またはおかしい (もうろうとしている) |
| けいれんが止まらない |
| 冷や汗を伴うような強い吐き気 |
地元の江戸川区のMTBIリーフレットでも、頭を打ったあとに意識状態がいつもと違う、事故後の記憶がない、手足に力が入りにくい・しびれる、けいれん・吐き気、めまい・頭痛といった症状があるときは、医療機関を受診するよう呼びかけています。
「急にふらつく」も入っているんですね。立ち上がったときにふらっとするので、少し怖くなりました。
不安になりますよね。表にあるのは「支えなしで立てないぐらい急にふらつく」といった突然の強い症状で、当てはまるときは様子を見ずに救急車を呼ぶことを考えてください。ただ、当てはまるかどうかを自分だけで決めるのは難しいものです。リーフレットでも、119番通報などの判断に迷ったときは救急相談窓口 (#7119等) に相談するよう案内されています。東京都内なら東京消防庁救急相談センターの#7119に電話で相談できます。24時間・365日対応で、医師や看護師、救急隊経験者などの職員が「今すぐ病院に行ったほうがよいか」「救急車を呼んだほうがよいか」の相談に乗ってくれます。どちらにしても、ふらつきが続くときは早めに医療機関を受診して、事故のことを伝えてください。
夜中に急にひどくなったときも相談できるのは心強いです。
はい。ご家族と一緒に住んでいる方は、事故に遭ったことと、どんな症状が出ているかを共有しておくと安心です。自分では気づきにくい「返事がない」「もうろうとしている」「うまく話せない」といった変化に、周りの人が先に気づくこともあります。
受診する診療科と医師に伝えること
救急ではなさそうなときは、何科に行けばいいのでしょうか? 整形外科ですか?
江戸川区のリーフレットでは、MTBIについて脳神経外科、神経内科、整形外科、耳鼻科、眼科などが協力して総合的に判断することが求められる、と書かれています。どの科が合うかは症状によって変わるので、受診したい医療機関に電話で「交通事故のあとに頭痛とめまいが出てきた」と伝え、どの科がよいか相談するのが確実です。すでに首のことで整形外科に通っている方は、その医師に頭痛やめまいのことを必ず伝えてください。
診察のとき、何を伝えればいいか緊張してしまいそうです。
メモにして持っていくと伝えもれが減ります。医師が判断するための材料なので、「大げさかな」と思うことも書いておいてください。
| 医師に伝えたいこと | 例 |
|---|---|
| 事故の状況 | 追突された、頭や首がどちらに揺れたか、頭をどこかにぶつけたか |
| 症状が出始めた日 | 事故の何日後から、どんなきっかけで気づいたか |
| 頭痛の様子 | ずきずき、締めつけられる、だんだん強くなっている、など |
| めまいの様子 | 立ち上がったとき、ぐるぐる回る、ふわふわする、など |
| ほかに気になること | 吐き気、耳鳴り、見えにくさ、眠れない、集中しにくい |
| 事故前の様子 | もともと頭痛持ちだったか、事故後に変わったか |
症状のメモは、受診したあとも続けたほうがいいですか?
はい。いつ、どんなときに頭痛やめまいが出たかを日付と一緒に書いておくと、次の診察で経過を説明しやすくなります。記録の残し方については「交通事故で腰痛が後から出たら? 受診の順番と記録の残し方」でもまとめているので、あわせて読んでみてください。
受診のあとの手続きの順番
受診したあと、警察や保険会社にはどう動けばいいですか?
交通事故のあとの基本の順番は、警察への届け出、医療機関での診察、保険会社への連絡、そして医師に相談したうえで整骨院です。頭痛やめまいのように急ぎの判断が必要かもしれない症状のときは、受診を優先してかまいません。日本損害保険協会も、至急医療機関にかかる必要のあるけがの場合は、まず受診を優先し、落ち着いてから保険会社に連絡するよう案内しています。
| 順番 | すること | ひとこと |
|---|---|---|
| 1 | 医療機関で医師の診察を受ける | 頭痛・めまいと事故のことを伝える |
| 2 | 事故を届け出た警察署に相談する | 物損で届けている場合は人身事故への切り替えを確認 |
| 3 | 保険会社へ連絡する | 後から頭痛やめまいが出て受診したことを伝える |
| 4 | 整骨院への通院は医師に相談してから | 頭痛やめまいについては医療機関での経過観察が前提 |
受診が遅れると、何か困ることがあるのですか?
国土交通省は、事故後に速やかに受診しない場合、交通事故との因果関係 (事故が原因でけがをしたというつながり) が認められないことがあると注意をうながしています。日本損害保険協会も、受診が遅れると交通事故によるけがか判断できず、賠償を受けられなくなるおそれがあると案内しています。体のためにも手続きのためにも、気づいた時点で受診するのがいちばんです。
警察には物損事故で届けてしまっていました。
その場合は、事故を届け出た警察署に相談してください。切り替えの考え方は「物損事故から人身事故への切り替えはなぜ必要? 理由と手順の順番」、保険会社への伝え方は「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」にまとめています。示談や賠償の具体的な話になったときは、弁護士や日弁連交通事故相談センターなどの専門の窓口に相談してください。
よくある誤解と注意点
首のこりをほぐしてもらえば頭痛も楽になるかも、と思っていたのですが、それはやめたほうがいいですか?
頭痛やめまいの原因がまだ分かっていない段階で、首や肩への施術を先に受けるのはおすすめしません。頭や脳に関わる原因の可能性が残っているうちは、まず医師の判断を受けることが先だからです。頭痛やめまいそのものは、医療機関で医師に経過をみてもらうものです。首や肩の痛みなどで整骨院への通院を考える場合は、医師の診察を受けたうえで医師に相談してください。
整骨院に通い始めたあとで、頭痛やめまいが出てきたらどうすればいいですか?
整骨院に通っている途中でも、新しく頭痛やめまいが出たり、強くなったりしたときは、通院している医療機関の医師に伝えて診てもらってください。私たちも、施術中にそうした訴えを聞いたときは、医療機関で診察を受けるようお伝えしています。整形外科と整骨院の役割の違いは「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」で説明しています。
| よくある誤解 | 実際の考え方 |
|---|---|
| 首のこりからくる頭痛だろう | 原因はいくつも考えられるので、医師に確かめてもらう |
| 頭をぶつけていないから大丈夫 | 頭を打っていなくても、強い衝撃のあとは医師に相談する |
| 事故から日がたったから関係ない | 後から症状が出ることもあるので、気づいた時点で受診する |
| 整骨院で様子を見ればいい | 頭痛やめまいは整骨院より先に医療機関で医師の診察を受ける |
| 少し良くなったから受診しなくていい | 症状の波には個人差があるので、医師に経過を伝えて判断してもらう |
よくある質問
事故から何日もたってから頭痛が出ても、受診してよいのですか?
はい、気づいた時点で受診してください。国土交通省は、頭痛やめまいなどの症状が続く場合には医療機関を受診するなどの対応が必要だとしています。受診が遅れると事故との関係が認められにくくなることもあるので、「今さら」と思わずに医療機関へ相談してください。
夜に急にめまいがひどくなったら、どうすればいいですか?
支えなしで立てないぐらい急にふらつく、意識がおかしい (もうろうとしている)、けいれんが止まらない、突然、片方の腕や足に力が入らなくなるといった様子があるときは、すぐに119番に連絡してください。救急車を呼ぶべきか迷うときは、東京都内なら#7119の東京消防庁救急相談センターに相談できます。24時間・365日対応しています。
頭痛やめまいのことを、整骨院でみてもらうことはできますか?
頭痛やめまいの原因を確かめることは、整骨院ではできません。まず医療機関で医師の診察を受けてください。そのうえで、首や肩の痛みなどについて整骨院への通院を考える場合は、医師に相談し、保険会社にも伝えてから始めてください。
頭痛があることを、保険会社にも伝えたほうがいいですか?
後から頭痛やめまいが出て受診したことは、保険会社にも伝えておきましょう。ただ、症状がどの程度で、事故とどう関係するかを判断するのは医師です。保険の取り扱いについては、加入先や相手方の保険会社に確認してください。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



