接骨院と整骨院の違いとは? 整体との違いと柔道整復師の国家資格
先生、事故のあと整形外科の医師に「整骨院に通うことも相談してみてください」と言われました。ところが近所を歩いてみると、「接骨院」「整骨院」「整体」と看板がいろいろあって、どこが同じでどこが違うのか分かりません。接骨院と整骨院は、別のものなのでしょうか?
名前が似ているので迷いますよね。今日は「名前の違い」と「資格の違い」に絞って、法律や厚生労働省の資料で確かめられることだけをお話しします。どこが良い・悪いという話ではなく、仕組みの違いを並べて見ていきましょう。
接骨院と整骨院、呼び方が違うのはなぜ?
まず、接骨院と整骨院の違いから教えてください。
結論から言うと、どちらも柔道整復師という国家資格者が柔道整復の業務を行う場所で、法律上の呼び名は同じ「施術所」です。柔道整復師法の第2条は、施術所を「柔道整復師が柔道整復の業務を行なう場所」と定めています。実は、柔道整復師法の本文には「接骨院」「整骨院」という言葉そのものは出てきません。
法律では「施術所」という名前なんですね。では、接骨院や整骨院という名前はどこから来ているのですか?
法律の言葉ではなく、それぞれの施術所が使っている名称です。国の資料で確認できるものとして、厚生省 (いまの厚生労働省) の告示 (平成11年厚生省告示第70号) は、施術所について広告してよい事項の一つに「ほねつぎ (又は接骨)」を挙げています。告示では「ほねつぎ」と「接骨」が並べて書かれています。
厚生労働省のホームページでは、どう書かれているのでしょう?
厚生労働省の健康保険の案内では、「整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫 (いわゆる肉ばなれを含む。) の施術を受けた場合に保険の対象になります」と、2つの名前を並べて書いています。国の案内でも、接骨院と整骨院を区別せずに扱っているわけです。ちなみに当院の名前は「鍼灸・整骨院」ですが、柔道整復の施術所であることは接骨院と同じです。
柔道整復師という国家資格
柔道整復師というのは、どういう資格なのですか?
柔道整復師法で定められた国家資格です。第2条で「厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者」とされ、第3条で、免許は柔道整復師国家試験に合格した人に厚生労働大臣が与えると決められています。
試験を受けるには、何か条件があるのですか?
厚生労働省が公表している国家試験の施行の案内では、大学に入学できる人が、文部科学大臣が指定した学校か、都道府県知事が指定した養成施設で、3年以上、柔道整復師に必要な知識と技能を身につけることが受験資格になっています。試験科目には、解剖学や生理学のほか、整形外科学、柔道整復理論、関係法規などが並んでいます。
柔道整復師でなくても、柔道整復をしてよいのですか?
いいえ。柔道整復師法の第15条で、医師である場合を除き、柔道整復師でなければ業として柔道整復を行ってはならないと決められています。一方で、柔道整復師にもしてはならないことがあります。表にまとめます。
| 項目 | 柔道整復師法の定め |
|---|---|
| 資格の種類 | 厚生労働大臣の免許 (第2条)。国家試験に合格した人に与えられる (第3条) |
| 柔道整復を業として行える人 | 柔道整復師と医師 (第15条) |
| 外科手術・薬品の投与やその指示 | 柔道整復師はしてはならない (第16条) |
| 骨折・脱臼の患部への施術 | 医師の同意が必要。応急手当は除く (第17条) |
| 施術を行う場所 | 「施術所」。開設したら都道府県知事 (保健所を設置する市・特別区では市長・区長) に届け出る (第19条) |
整骨院では、けがの診断や画像検査を受けたり、薬を出してもらったりすることはないのですね。
そのとおりです。けがの状態の診断や、レントゲンなどの画像検査は医療機関で医師のもとで受けるものです。薬についても、第16条で柔道整復師は薬品の投与やその指示をしてはならないとされています。整骨院で何をして何をしないかの詳しい役割分担は、「交通事故の整骨院の施術内容とは? 医療機関との役割分担と通う順番」でお話ししています。
整体・カイロプラクティックとの違い
整体やカイロプラクティックは、接骨院・整骨院と何が違うのでしょう?
いちばん大きな違いは、法律で定められた免許の制度があるかどうかです。厚生省の通知 (平成3年6月28日 医事第58号) は、「医業類似行為」と呼ばれるもののうち、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復の4つについて、それぞれの法律により免許を持つ人でなければ行ってはならないと整理しています。
その4つの中に、整体やカイロプラクティックは入っていないのですね。
はい。同じ通知は、この4つ以外のものを別の区分として扱っていて、カイロプラクティックについても別の項目で取り上げています。整体やカイロプラクティックという名前の国家資格が、柔道整復師のように法律で定められているわけではありません。ただ、これは資格制度の違いで、どちらが良い・悪いという話ではないことは強調しておきたいです。
健康保険の扱いはどうなりますか?
厚生労働省の療養費 (健康保険から支払われる施術費) の案内は、「柔道整復師の施術」「はり・きゅうの施術」「マッサージの施術」の3つに分けて書かれていて、整体やカイロプラクティックの区分はありません。整骨院・接骨院でも、どんな施術でも健康保険の対象になるわけではありません。整体などで保険が使えるかどうかは、ご自分が加入している健康保険に確認するのが確実です。
| 比べる項目 | 接骨院・整骨院 | 整体・カイロプラクティック |
|---|---|---|
| 施術する人の資格 | 柔道整復師 (柔道整復師法に基づく国家資格) | 柔道整復師法やあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の法律のような、名前を定めた国家資格の制度はない |
| 厚労省の療養費の案内 | 打撲・捻挫 (いわゆる肉ばなれを含む)・骨折・脱臼の施術が対象。骨折・脱臼は緊急の場合を除き医師の同意が必要。単なる肩こり・筋肉疲労などは対象外 | 案内に区分がない。保険の扱いは加入先の健康保険に確認 |
| 交通事故で通うとき | 医師に相談し、保険会社にも伝えたうえで通う | 同じく医師に相談し、費用の扱いを保険会社に確認する |
表で見ると、違いは「資格の仕組み」と「保険の扱い」なんですね。
そうです。そして、交通事故のあとに通う場合は、どこに通うときでも医師に相談してから、というのが共通の考え方です。症状の出方や経過には個人差がありますから、どこに通うのがよいかは、けがの状態を診ている医師に相談して決めてください。
交通事故のときに通う順番
交通事故のあとに整骨院に通う場合は、どんな順番で動けばいいですか?
名前や資格の違いが分かっても、順番を間違えると困ることがあります。表で確認しましょう。
| 順番 | 相手 | やること |
|---|---|---|
| 1 | 警察 | 事故を届け出る。けががあれば人身事故として扱ってもらう |
| 2 | 整形外科などの医療機関 | 医師の診察を受け、けがの状態を診断してもらう |
| 3 | 保険会社 | 事故の報告をし、通っている医療機関を伝える |
| 4 | 医師 → 整骨院 | 整骨院に通いたいことを医師に相談したうえで通い始める |
| 5 | 保険会社 | 整骨院にも通うことを伝え、費用の扱いを確認する |
やっぱり、警察と医療機関が先なんですね。
日本損害保険協会は、事故の大きさにかかわらず必ず警察に連絡すること、けががあれば速やかに医療機関を受診することを案内しています。事故の直後は大したけがでないと思っても、あとから症状が出たり、重いけがが分かったりすることもあるそうです。国土交通省も、事故後に速やかに受診しない場合、交通事故との因果関係が認められないことがあると注意をうながしています。
整骨院に通う前に、医師に相談するのはなぜですか?
日本損害保険協会は、医療機関以外ではレントゲンなどの画像検査ができない場合があり、後遺障害に関する診断なども受けられないため、整骨院など医療機関以外を希望する場合は医師と相談のうえにするのがよいと案内しています。整骨院に通い始めてからも、医療機関で医師に経過を確認してもらうことが大切です。通い分けの注意点は、「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」にまとめています。
費用は保険で払ってもらえるのでしょうか?
交通事故で整骨院の施術費がどの保険の対象になるかは、事故の状況や医師の判断、保険会社とのやり取りで変わるので、一律には言えません。保険の扱いは事故ごとに保険会社に確認してください。日本損害保険協会は、保険会社に費用を請求するには領収書の原本が必要だと案内しているので、領収書は保管しておきましょう。自賠責保険 (車を持つ人が必ず入る保険) との関係は、「交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ」で説明しています。
看板や名前を見るときに知っておきたいこと
看板には「ほねつぎ」と書いてあるところもありました。看板に書けることには決まりがあるのですか?
はい。柔道整復師法の第24条は、柔道整復の業務や施術所の広告について、書いてよい事項を限っています。柔道整復師であることと氏名、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日や施術時間のほか、厚生労働大臣が指定した事項です。その指定の告示に「ほねつぎ (又は接骨)」や、予約に基づく施術、駐車設備に関する事項などが並んでいます。
だから看板の内容がどこも似ているんですね。
そういう面があります。ですから、看板の言葉だけで違いを判断するのは難しいと思います。気になることがあれば、柔道整復師が施術を担当するかどうかなどを、院に直接たずねてみてください。そして交通事故の場合は、通う前に医師へ相談することを忘れないでください。
| 看板などでよく見る言葉 | 意味 (法律・告示で確認できる範囲) |
|---|---|
| 接骨院・整骨院 | 柔道整復師が柔道整復の業務を行う施術所の名称として使われている。法律上の呼び名は「施術所」 |
| ほねつぎ (又は接骨) | 平成11年厚生省告示第70号で、施術所について広告してよい事項とされている言葉 |
| 柔道整復師 | 厚生労働大臣の免許を受けた国家資格者 (柔道整復師法第2条) |
| 鍼灸 (はり・きゅう) | はり師・きゅう師という、柔道整復師とは別の国家資格の施術 |
よくある質問
接骨院と整骨院で、受けられる施術の範囲は違いますか?
名前の違いで範囲が変わるわけではありません。どちらも柔道整復師法に基づく施術所で、柔道整復師が同じ法律の定めのもとで施術を行います。骨折や脱臼の患部への施術は、応急手当を除いて医師の同意が必要です。
整骨院と整体、交通事故のあとはどちらに通えばいいですか?
どちらが良いということではなく、まず医療機関で医師の診察を受け、どこに通うのがよいかを医師に相談してください。そのうえで通う先を保険会社にも伝え、費用の扱いを確認します。
整骨院で、けがの診断や画像検査を受けることはできますか?
診断は医師が行うもので、レントゲンなどの画像検査も整形外科などの医療機関で受けるものです。日本損害保険協会も、医療機関以外ではレントゲンなどの画像検査ができない場合があり、後遺障害に関する診断なども受けられないと案内しています。また、柔道整復師法第16条で、柔道整復師は外科手術や薬品の投与、その指示をしてはならないとも定められています。
「鍼灸・整骨院」という名前は、何を表しているのですか?
「鍼灸」ははり・きゅう、「整骨院」は柔道整復の施術所を指す言葉です。はり師・きゅう師と柔道整復師は、それぞれ別の国家資格です。交通事故のあとに通う場合は、どの施術でも、医師に相談してからにしてください。
接骨院と整骨院は呼び方の違いで、整体との違いは資格の仕組みと保険の扱いなんですね。名前で迷うより、まず医師に相談してみます。
それがいちばん確かな進め方です。症状の出方や経過には個人差がありますので、どこに通うかは医師と相談して決めてください。2026年11月時点の法律や国の案内で確認できる範囲でお話ししましたが、保険の扱いは事故ごとに保険会社へ確認してくださいね。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



