交通事故の診断書を警察に提出するタイミングは? 取り方と順番
先生、追突事故のあと、警察の方に「けががあるなら診断書を持ってきてください」と言われました。診断書なんてもらったことがなくて、どこで頼めばいいのか、いつまでに出せばいいのかもわかりません。
初めてだと戸惑いますよね。診断書は、順番さえわかれば落ち着いて準備できます。先にお伝えすると、診断書は整形外科などの医療機関で診察した医師に書いてもらうもので、警察へ出す日数の期限は公的な案内では決まっていませんが、けががある場合は早急に提出するよう警察署は案内しています。今日は、診断書をどこで誰に書いてもらうのか、お願いするときに何を伝えるのか、そして警察へ出すタイミングを一緒に確認していきましょう。
診断書は誰に書いてもらうものか
診断書は、どこでもらえるものなのですか?
整形外科などの医療機関で、医師に書いてもらうものです。私たち柔道整復師は医師ではないので、整骨院で診断書を書くことはできません。けがの診断も医師が行います。ですから、事故でけがをしたら、まず医療機関で医師の診察を受けることが出発点になります。
診察を受けずに、診断書だけお願いすることはできますか?
それはできません。医師法第20条は、医師が自ら診察しないで診断書を交付してはならないと定めています。診断書は、その医師が実際に体を診た結果を書く書類だということです。事故のあとに受診した医療機関で、診察してくれた医師にお願いする形になります。
お医者さんに「診断書をください」と言うのは、なんだか気が引けます。
遠慮しなくて大丈夫ですよ。医師法第19条第2項には、診察をした医師は診断書の交付を求められた場合、正当な事由がなければ拒んではならないと書かれています。受付や診察のときに「交通事故のけがで、警察に出す診断書が必要です」と伝えてください。できあがるまでの日数や受け取り方は医療機関によって違うので、その場で確認しておくと安心です。
警察用と保険用、診断書は1種類ではない
診断書を1通もらえば、警察にも保険会社にも使えるのでしょうか?
そこはよく誤解されるところです。交通事故で出てくる診断書には、提出先によって種類があります。おおまかな違いを表にしました。書式や必要な枚数は提出先や事故によって変わるので、目安として見てください。
| 提出先 | 主な目的 | 書式 | 誰が書くか |
|---|---|---|---|
| 警察署 | けがをした事故 (人身事故) として扱ってもらう | 医療機関の診断書。必要な記載は警察署に確認 | 診察した医師 |
| 自賠責保険 (保険会社) | けがの損害を請求する | 損害保険会社に備え付けの用紙がある (国土交通省) | 治療を受けた医師または病院 |
| 勤務先・健康保険など | 休業や手続きの確認 | 提出先ごとに異なる | 診察した医師 |
自賠責保険の診断書は、警察に出すものとは別なのですね。
国土交通省は、自賠責保険 (車やバイクを持つ人が必ず入る保険) の請求に必要な書類として「医師の診断書」を挙げ、損害保険会社に備え付けの用紙があると案内しています。取り付け先は「治療を受けた医師または病院」です。多くの場合、相手の保険会社が書類のやり取りを進めますが、誰がどの書類を用意するかは保険会社に確認してください。保険会社に何を聞かれるかは、「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」にまとめています。
医師に診断書をお願いするときに伝えること
診察のときは、何を話せばいいですか? 緊張して言い忘れそうです。
診断書には、医師が診察で確かめた内容が書かれます。伝え漏れがあると、その症状が記録に残らないことがあります。事前にメモを作っておくとよいと思います。
| 伝えること | 例 | 理由 |
|---|---|---|
| 事故の日時と状況 | 朝の通勤中、信号待ちで後ろから追突された | 事故とけがの関係を医師が確かめるため |
| 痛む場所はすべて | 首、肩、腰。軽いと思うものも含める | 伝えなかった症状は記録に残らないことがある |
| 事故のあとから出た症状 | 翌朝から首が回しにくい、手がしびれる | 事故の直後は気づきにくい症状もあるため |
| 何に使う診断書か | 警察に出す、保険会社にも求められている | 提出先によって書式が違うため |
痛みが軽い場所まで言うのは、大げさな気がしてしまいます。
大げさにする必要はありませんが、感じていることはそのまま伝えてください。反対に、実際より重く言う必要もありません。症状の出方や経過には個人差があるので、判断は医師にお任せするのがいちばん確かです。事故の直後は痛くなくても後から症状が出ることについては、「交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング」で説明しています。
診断書の費用は、自分で払うのですか?
金額や支払い方は医療機関によって違うので、お願いするときに確認してください。あとで相手側の保険から支払われるかどうかは、事故の状況や保険会社とのやり取りによって変わります。領収書は捨てずに保管し、扱いは保険会社に確認してください。
警察へ出すタイミング
診断書は、いつまでに警察へ出せばいいのですか?
2026年10月時点で私が確認した公的な案内には、何日以内という決まった期限は見当たりませんでした。ただ、鳥取県の倉吉警察署などの案内では「けがのある場合は早急に診断書を警察に提出してください」とされています。診断書を受け取ったら、できるだけ早く警察署へ連絡するのが基本です。
早いほうがいい理由はあるのですか?
時間がたつほど、事故の状況やけがとの関係を確かめにくくなるからです。日本損害保険協会も、受診が遅れると交通事故によるけがか判断ができず、治療費などの賠償を受けられなくなるおそれがあると注意しています。順番としては、受診を先に、そのあと診断書を持って警察へ、という流れです。
警察署には、いきなり行っても大丈夫ですか?
先に電話をしておくのがおすすめです。兵庫県警察は、医師の診断書をもらって、事故の発生地を管轄する警察署の事故係に申し出るよう案内しています。行く日時や、診断書のほかに持っていくものは、電話のときに確認してください。入院などで出向けないときは、警察に連絡するよう兵庫県警察も案内しています。
私は事故のとき「けがはありません」と言ってしまいました。その場合も同じですか?
物損事故 (物が壊れただけの事故) として届けたあとに痛みが出てきた場合は、人身事故への切り替えの手続きになります。病院へ行っただけでは人身事故にならないので、診断書を持って警察署へ申し出ることが必要です。理由や手順は「物損事故から人身事故への切り替えはなぜ必要? 理由と手順の順番」で詳しく説明しています。
診断書を出したあとの流れ
診断書を出したら、そのあとはどうなるのですか?
鳥取県の警察署の案内では、けががある場合に診断書を提出すると人身事故の扱いとなり、後日事情聴取があると説明されています。事故のときの様子を改めて聞かれるので、日時や場所、どの方向から何がぶつかったかなどを、メモにまとめておくと話しやすいと思います。
実況見分というのも、あるのですか?
日本損害保険協会は、警察官の立会いで現場の状況が確認され、人身事故の場合は「実況見分調書」として記録に残ると説明しています。事故の状況を確かめる記録の一つになります。いつ、どのように行われるかは警察署から連絡があるので、その指示に従ってください。
交通事故証明書は、診断書を出したあとにもらえるのですか?
交通事故証明書は、事故があったことを証明する書類で、自動車安全運転センターが発行します。国土交通省が案内している自賠責保険の請求書類には「交通事故証明書 (人身事故)」が挙げられています。申込用紙は警察署や交番に置いてあると鳥取県の警察署は案内しています。保険会社が取り寄せることもあるので、自分で申請するかどうかは保険会社に確認してください。
診断書を出すときに気をつけたいこと
相手の方から「示談するので診断書は出さないで」と頼まれたら、どうすればいいでしょう?
その場で約束したり、お金を受け取ったりするのは控えてください。大阪府警察は、警察は民事上の示談成立などを理由に人身事故の捜査を打ち切ることはなく、提出した診断書は検察庁等に送致するため返却できないと案内しています。出すかどうかに迷うときは、警察署で手続きの内容をよく聞いたうえで判断してください。示談や賠償のことは、弁護士や日弁連交通事故相談センター、自治体の交通事故相談所などに相談してください。
整骨院に通いたい場合も、診断書が先なのですか?
はい。まず医療機関で医師の診察を受け、警察と保険会社への手続きを進めたうえで、医師に相談してから整骨院へ、という順番をおすすめしています。整骨院では、医師の診察を受けたうえで、痛みの状態を確認しながら施術を行います。骨折や脱臼が疑われる場合は、応急手当を除いて医師の同意がないと施術できないと柔道整復師法第17条で決まっています。整形外科と整骨院の通い方は、「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」で説明しています。
| よくある誤解 | 実際のところ |
|---|---|
| 整骨院で診断書を書いてもらえる | 診断書を書くのは診察した医師。整骨院では書けない |
| 診察を受けなくても診断書だけもらえる | 医師は自ら診察しないで診断書を交付してはならない (医師法第20条) |
| 警察に出した診断書を保険会社にも回してもらえる | 提出先ごとに必要になることがある。警察に出した診断書は返却されない |
| 診断書の提出には決まった期限がある | 公的に決まった日数は確認できない。けががある場合は早急に提出するよう案内されている |
よくある質問
救急車で運ばれた病院と、その後に通っている整形外科が違います。どちらで診断書をもらえばいいですか?
診断書は、実際に診察した医師が書くものなので、どちらの医療機関でもお願いすることは考えられます。どちらの診断書が必要かは提出先によって違うことがあるので、警察署に電話で確認してから医療機関にお願いしてください。
仕事が忙しくて、診断書をもらってから警察に行くまで少し時間があいてしまいそうです。
期限が公的に決まっているわけではありませんが、けががある場合は早急に提出するよう警察署は案内しています。まずは警察署に電話をして事情を伝え、行ける日を相談してください。電話で状況を伝えておくだけでも、そのあとの手続きが進めやすくなります。
診断書に書かれた治療の見込み期間より長く痛みが続いたら、困ったことになりますか?
診断書の見込み期間は、そのときの診察にもとづく医師の判断です。症状の経過には個人差があるので、痛みが続くときは医師に伝え、通院の方針を相談してください。保険の手続きへの影響は、保険会社に確認してください。
自賠責保険の請求は、いつまでにすればいいのですか?
国土交通省によると、自賠責保険の請求は3年で時効となります。けがについて被害者が請求する場合は、事故発生の翌日から数えます。また、人身事故の場合、事故発生から5年が経過すると原則として交通事故証明書は交付されません。具体的な手続きは保険会社に確認してください。
診断書は医療機関で医師に、伝えることはメモにして、受け取ったら警察署に電話してから持っていく。この順番で進めてみます。
それがよいと思います。わからないことは、医療機関、警察署、保険会社のそれぞれに聞きながら一つずつ進めていきましょう。整骨院に通うことになったときは、医師の方針に沿って、痛みの状態を確認しながら施術を行います。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



