交通事故の慰謝料は自賠責基準でどう計算する? 通院日数と期間の仕組み
先生、追突事故から1か月ほどたって、相手の保険会社から慰謝料という言葉が出てきました。正直、どうやって決まるものなのか見当もつきません。自賠責基準という言葉も聞いたのですが、何のことでしょうか?
慰謝料の話が出てくると、急にお金の話になって戸惑いますよね。自賠責基準は、自賠責保険が支払う額を決めるための公的な基準です。今日は計算の仕組みだけを、国土交通省などの公的な情報にそって説明します。ユイさんの場合に具体的にいくらになるか、示談をどう進めるかは、整骨院ではお答えできないので、最後に相談先もお伝えしますね。
自賠責基準の慰謝料とは何か
そもそも、慰謝料は何に対して支払われるお金なんですか?
交通事故でけがをしたことによる、精神的・肉体的な苦痛に対して支払われるお金です。国土交通省と金融庁が定めた自賠責保険の支払基準では、けが (傷害) による損害を「積極損害」「休業損害」「慰謝料」に分けています。積極損害は医療機関の費用や文書料など、休業損害は仕事を休んだことによる損害のことです。慰謝料は、そのどちらとも別の項目として扱われます。
自賠責基準以外にも、基準があるんですか?
あります。日弁連交通事故相談センターは、傷害慰謝料の基準には自賠責保険の支払基準のほかに、任意保険会社が内規として定める任意保険基準や、弁護士 (裁判) 基準と呼ばれるものがあると説明しています。そのうえで自賠責保険は「ごく基礎的な金額の対人賠償を確保するための強制保険」だとしています。自賠責保険 (車やバイクを持つ人が必ず入る保険) は、被害者を最低限救うための土台の補償、と考えると分かりやすいと思います。
| 基準の名前 | どんなものか (日弁連交通事故相談センターの説明より) |
|---|---|
| 自賠責保険の支払基準 | 金融庁・国土交通省の告示で定められた公的な基準。ごく基礎的な対人賠償を確保するためのもの |
| 任意保険基準 | 任意保険会社が内規として定めている基準 |
| 弁護士 (裁判) 基準 | 弁護士 (裁判) 基準と呼ばれる基準 |
計算の基本は「1日あたりの金額 × 対象日数」
自賠責基準では、慰謝料はどうやって計算されるんですか?
支払基準の告示には、慰謝料について三つのことが書かれています。表にまとめますね。
| 支払基準 (告示) の文言 | 意味 |
|---|---|
| 慰謝料は、1日につき4,300円とする | 1日あたりの金額が決まっている |
| 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする | 何日分になるかは、けがの状態や実際に治療を受けた日数などを見て、治療期間をこえない範囲で決める |
| 妊婦が胎児を死産又は流産した場合は、上記のほかに慰謝料を認める | 特別な場合の追加 |
1日4,300円というのは、いつから決まっている金額ですか?
支払基準は改正されることがあり、現在の基準は令和2年4月1日から施行されたものです。金融庁と国土交通省は令和元年12月12日に改正を公表し、施行日を令和2年4月1日としています。千葉県の交通事故相談所も、掲載している計算式は令和2年4月1日以降に発生した事故に適用される基準だと注記しています。事故の日付によって適用される基準が違う場合があるので、古い事故の場合は保険会社に確認してください。
国土交通省のサイトにも同じことが書いてあるのでしょうか?
国土交通省の「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」のページには、慰謝料は1日4,300円が支払われ、対象日数は傷害の状態や実治療日数などを勘案して治療期間内で決められる、とあります。告示と同じ内容を、やさしい言葉で書いたものです。2026年10月時点で確認した内容ですが、改正の可能性はあるので、最新の情報は国土交通省のページで確かめてください。
「実際に通った日数」と「治療期間」の違い
「実治療日数」と「治療期間」は、何が違うんですか?
言葉が似ていてまぎらわしいところです。実治療日数は、入院した日や実際に通院した日の数です。治療期間は、治療が続いていた期間そのものの長さです。たとえば治療が続いた期間の中で、実際に病院へ行ったのはそのうちの何日か、という関係になります。
その二つを使って、どう計算するんですか?
千葉県の交通事故相談所は、自賠責保険の支払基準での傷害慰謝料を「実治療日数 (入院・実通院) × 4,300円 × 2倍 (総治療日数が限度)」と説明しています。実際に治療を受けた日数を2倍した日数を目安にしつつ、治療期間の日数をこえない、という考え方です。日弁連交通事故相談センターの相談事例でも、通院実日数10日に対して、それを2倍した20日分で提示されていた例が紹介されています。
| 用語 | 意味 | 計算での役割 (千葉県交通事故相談所の説明より) |
|---|---|---|
| 実治療日数 | 入院した日と、実際に通院した日の数 | この日数の2倍を目安にする |
| 治療期間 (総治療日数) | 治療が続いていた期間の日数 | 対象日数の上限になる |
| 1日あたりの金額 | 4,300円 (令和2年4月1日以降の事故) | 対象日数にかける |
その式に当てはめれば、慰謝料の額が分かるということですか?
式は仕組みを理解するための目安だと考えてください。告示そのものには「2倍」という言葉はなく、対象日数は「傷害の態様、実治療日数その他を勘案して」決めると書かれています。つまり、けがの状態や治療の内容なども見て判断されるもので、日数だけで機械的に決まるとは限りません。実際の対象日数や金額は保険会社の判断によるので、提示された内容に疑問があれば相談窓口で確認するのが確実です。
整骨院に通った日も、実治療日数に数えられるのでしょうか?
今回確認した国土交通省の支払基準や自治体の説明には、整骨院に通った日を慰謝料の日数としてどう数えるかまでは書かれていませんでした。ここは事故の状況や医師の判断、保険会社とのやり取りによって扱いが変わり得るところです。整骨院に通う前に医師に相談し、保険会社にも連絡したうえで、慰謝料での扱いも保険会社に確認してください。整骨院の施術費が自賠責でどう扱われるかは「交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ」で説明しています。
計算式から誤解しやすいこと
2倍という話を聞くと、たくさん通ったほうが有利なのかなと思ってしまいます。
そこはいちばん誤解されやすいところなので、はっきりお伝えします。通院は症状に応じて必要な分だけにしてください。慰謝料のために通う日数を調整するのは、本来の目的とは逆の考え方です。必要以上の通院は、施術費や治療費が「必要かつ妥当」と認められない原因になるうえ、不正な請求と受け取られるおそれもあります。
逆に、仕事が忙しくて通えない日があると損をするのでは、と心配になります。
通院の間隔や回数は、慰謝料ではなく、けがの状態に合わせて医師が判断するものです。症状や経過には個人差があり、同じ事故でも必要な通院の回数は人によって違います。通えない事情があるときは、自己判断で中断せず、医師に相談してください。慰謝料の扱いが気になるなら、それは通い方で調整するのではなく、相談窓口で確認する事柄です。
そもそも、慰謝料の計算のもとになる記録はどこで残るんですか?
けがの状態や治療の記録は、医療機関で医師が診察して残すものです。自賠責保険の請求でも、医師の診断書などの書類が必要になります。だからこそ、事故のあとは順番が大切です。警察への届け出、医療機関での診察、保険会社への連絡を済ませてから、医師に相談のうえで整骨院に通う、という流れを守ってください。
順番は前にも聞いた気がしますが、慰謝料にもつながっているんですね。
そうなんです。医療機関と整骨院の通い方の順番は「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」に、診断書の取り方は「交通事故の診断書を警察に提出するタイミングは? 取り方と順番」にまとめています。慰謝料のことを考える前に、まずこの土台がそろっているかを確認してみてください。
120万円の限度額とほかの費用との関係
自賠責の慰謝料には、上限があるのでしょうか?
慰謝料だけの上限ではなく、けが (傷害) による損害全体に限度額があります。国土交通省によると、傷害による損害の支払限度額は被害者1人につき120万円です。この120万円の中に、医療機関の費用などの積極損害、休業損害、そして慰謝料が含まれます。治療関係の費用や休業損害が大きいと、全体で限度額に近づくことになります。
| 傷害による損害の区分 (支払基準) | 主な内容 |
|---|---|
| 積極損害 | 治療関係費、文書料その他の費用 (柔道整復の施術費、通院交通費なども含む) |
| 休業損害 | 事故のけがで仕事を休んだことによる損害 |
| 慰謝料 | 1日4,300円 × 対象日数 (治療期間の範囲内) |
| 限度額 | 上記を合わせて被害者1人につき120万円 (国土交通省) |
120万円をこえた分はどうなるんですか?
限度額をこえる部分は、相手が入っている任意保険や相手本人への請求の話になります。千葉県の交通事故相談所も、自賠責の限度額だけでは足りないのに話し合いが進まない場合の解決方法として、日弁連交通事故相談センターなどへの相談、調停、訴訟などを案内しています。どの方法がよいかは事故ごとに違うので、公的な相談窓口で確認してください。
自分にも過失がある場合は、計算が変わりますか?
支払基準には、被害者の過失がとても大きい場合に減額する決まりがあります。傷害の場合の減額の考え方は「交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ」で表にしているので、そちらを見てください。過失割合そのものの判断に納得がいかないときも、整骨院ではなく弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
慰謝料や示談で迷ったときの相談先
保険会社から金額を示されたとき、それが妥当かどうか、先生に見てもらうことはできますか?
申し訳ないのですが、それはできません。示談や賠償額について具体的な助言をするのは、弁護士などの役割です。整骨院でお手伝いできるのは、痛みの状態を確認しながら施術を行うことと、通院の経過をお伝えすることまでです。金額や示談のことは、次のような公的な窓口に相談してください。
| 相談先 | 内容 (各機関の案内より) |
|---|---|
| 日弁連交通事故相談センター | 弁護士による交通事故の相談 (示談あっ旋等) を行う公益財団法人。電話相談と面接相談がある |
| 交通事故紛争処理センター | 千葉県交通事故相談所が、示談のあっ旋を受けられる機関として案内している公益財団法人 |
| 江戸川区の交通事故相談 | 交通事故相談員 (元警察官) による相談。面談は電話で事前予約。オンライン相談は区内在住・在勤・在学の方が対象 |
江戸川区にも相談窓口があるんですね。いつ相談できますか?
江戸川区のページでは、面談は月曜日から木曜日 (金曜日・祝休日を除く) で、9時15分、10時30分、13時15分、14時30分からの4回とされています。予約は江戸川区土木部施設管理課交通安全推進係 (03-5662-1998) へ電話でします。日程は変わることがあるので、区のページで最新の案内を確認してください。
示談金と慰謝料は、同じものですか?
千葉県の交通事故相談所は、示談金とは事故によって受けたすべての損害についての賠償金のことで、賠償金のほかに示談金というものがあるわけではない、と説明しています。慰謝料は、その賠償金の中の一つの項目です。分からないところは、示談の前に相談窓口で確認してください。保険会社とのやり取りの基本は「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」も参考にしてください。
よくある質問
計算式に当てはめた金額は、必ず支払われますか?
必ずではありません。告示では、対象日数はけがの状態や実治療日数などを勘案して治療期間の範囲内で決めるとされていて、最終的には保険会社の判断になります。傷害による損害全体の限度額が120万円であることや、過失による減額の決まりもあります。提示額に疑問があれば、日弁連交通事故相談センターなどに相談してください。
整骨院に通った日は、慰謝料の日数に入りますか?
公的な支払基準や自治体の説明では、そこまでは確認できませんでした。扱いは事故の状況や医師の判断、保険会社とのやり取りで変わり得ます。整骨院に通う前に医師に相談し、保険会社に連絡するときに、慰謝料での扱いもあわせて確認してください。
慰謝料のことを考えて、通院の間隔を変えたほうがいいでしょうか?
変える必要はありません。通院は症状に応じて必要な分だけにしてください。通院の回数や間隔は、けがの状態を見て医師と相談して決めるものです。具体的な金額や示談のことは、弁護士や交通事故相談センターに相談してください。
1日4,300円は、どの事故にも当てはまりますか?
現在の支払基準は令和2年4月1日から施行され、同日以後に発生した事故に適用されています。それより前の事故では、扱いが違う場合があります。事故の日付を伝えたうえで、保険会社に確認してください。
仕組みが分かって、少し落ち着きました。通院は先生方と相談しながら続けて、金額のことは相談センターに聞いてみます。
それがいちばん確実な進め方です。自賠責基準の慰謝料は、1日あたりの金額と、けがの状態や治療の日数をもとに決まる対象日数で計算される仕組みです。ただ、通院はあくまで症状のためのものです。医師の診察を受けながら整骨院に通うことになったら、痛みの状態を確認しながら施術を行います。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



