交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧

ユイ

先生、通勤中に追突されて、今日やっと整形外科で診てもらいました。このあと保険会社に電話しないといけないと聞いたのですが、何を話せばいいのか分からなくて手が止まっています。どこから考えればいいでしょうか?

院長 佐藤

医療機関で医師の診察を受けたあとなら、順番としては落ち着いて電話できる段階です。保険会社への連絡は、「伝えること」と「聞かれること」を先に知っておくと、ずいぶん楽になります。誰に連絡するのか、何を手元に置いておくのか、時期ごとにどんなことを聞かれるのかを、順に見ていきましょう。

事故のあとに連絡する保険会社は二つある

ユイ

保険会社というのは、相手の保険会社のことですか?

院長 佐藤

実は、かかわる保険会社は二つあります。一つは自分が入っている自動車保険の保険会社、もう一つは相手が入っている保険会社です。日本損害保険協会は、事故のあとは自分が加入している自動車保険の保険会社に事故の報告をするよう案内しています。追突されて自分に過失がないと思える事故でも、自分の保険会社への報告は必要だと考えてください。

ユイ

自分は悪くないのに、自分の保険会社にも連絡するんですね。

院長 佐藤

はい。保険の契約者には、損害が発生したことを知ったら遅滞なく保険会社に通知する義務があると、日本損害保険協会が保険法の条文をもとに説明しています。また、自分の保険に付いている補償の中には、被害者の立場でも使えるものがあります。その確認のためにも、自分の保険会社への連絡は欠かせません。

連絡する相手 主な役割 ユイさんの立場でやること
自分の保険会社 (または代理店) 契約者からの事故の報告を受ける。被害者でも使える補償の案内をする 事故の報告をし、使える補償があるかを確認する
相手の保険会社 相手 (加害者) の賠償を担当する。被害者に事故状況やケガの状態を確認する 聞かれたことに事実で答え、届いた書類を確認して返送する
ユイ

相手の保険会社には、私から電話するのですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会の説明では、加害者が自分の保険会社に事故の状況や相手の情報を伝え、その保険会社から被害者に連絡が来る流れが一般的です。ですから、相手の保険会社からの連絡を待つのが基本になります。連絡が来ないときの動き方は、後半で説明します。

電話の前に手元にそろえておくもの

ユイ

電話の前に、何を準備しておけばいいですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会は、保険証券などの契約内容がわかる資料と、相手の情報を用意しておくと事故報告がスムーズだとしています。事故の現場で確かめた内容も、メモにまとめておくと話しやすくなります。手元にあると安心なものを表にしました。

準備するもの 具体的な内容
自分の保険の資料 保険証券など、契約している保険会社名と証券番号がわかるもの
相手の情報 氏名・住所・連絡先、車の登録ナンバー、相手が入っている自賠責保険と自動車保険の会社名・証明書番号、勤務先
事故の状況 日時・場所、どのようにぶつかったか、簡単な見取図、ドライブレコーダーの映像があるか
目撃者の情報 目撃者がいれば、その人の氏名と連絡先
警察への届け出 届け出た警察署、ケガがあることを伝えて人身事故として届け出たか
医療機関の情報 受診した医療機関の名称・所在地、受診した日
ケガの状態 痛む場所、医師から言われたこと、仕事を休んだかどうか
ユイ

ケガをしているときは、電話より病院が先ですよね?

院長 佐藤

そうです。日本損害保険協会も、急いで医療対応が必要なときは医師への受診を優先し、落ち着いてから保険会社に連絡するよう案内しています。痛みが軽く感じても、事故のあとは整形外科などの医療機関で早めに医師の診察を受けてください。受診が遅れると、事故によるケガかどうかの判断が難しくなるおそれがあります。事故直後の順番は「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」で、後から痛みが出たときのことは「交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング」でくわしく書いています。

自分の保険会社に伝えること・確認すること

ユイ

自分の保険会社には、具体的に何を話せばいいでしょうか?

院長 佐藤

伝えることは、先ほど準備したメモの内容がほぼそのままです。それに加えて、被害者として使える補償があるかを確認しておくと、あとで困りにくくなります。電話のときに手元で見られるよう、伝えることと確認することを分けました。

区分 内容
伝えること 自分の氏名、証券番号、事故の日時と場所
伝えること 事故の状況 (停車中に後ろから追突された、など)
伝えること 相手の氏名・連絡先・車の登録ナンバー・相手の保険会社名
伝えること 警察に届け出たこと、ケガをして医療機関を受診したこと
伝えること 同乗者がいたかどうか、車の壊れ具合
確認すること 自分の保険に人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険が付いているか
確認すること 弁護士費用特約が付いているか
確認すること 今後、相手の保険会社とのやり取りをどう進めるか
ユイ

人身傷害補償保険というのは、どういうものですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会によると、被害者の過失の割合にかかわらず、実際に負担した損害を補償する保険です。相手が保険に入っていない場合などに、自分の保険から補償を受けられることがあります。ただ、使えるかどうかや支払いの順番は契約内容で変わるので、自分の保険会社の担当者とよく相談してください。

ユイ

追突なら、自分の保険会社が相手と話し合ってくれるのでしょうか?

院長 佐藤

そこは誤解が多いところです。日本損害保険協会は、被害者に責任がない場合、自動車保険に入っていても保険会社の示談交渉サービスは使えないと説明しています。相手に賠償する責任がないので、対人・対物賠償責任保険の対象にならないためです。その場合は、被害者自身が相手側とやり取りするか、弁護士に依頼することになります。

ユイ

自分で相手側と話すのは心細いのですが、何か方法はありますか?

院長 佐藤

確認しておきたいのが弁護士費用特約です。日本損害保険協会によると、この特約に入っていれば、被害者の責任の有無にかかわらず使えるとされています。付いているかどうかは保険証券や保険会社への確認で分かります。示談や賠償額の判断は、柔道整復師である私ではなく、弁護士などの専門家の領分です。

相手の保険会社から聞かれること

ユイ

相手の保険会社からの電話では、何を聞かれるのですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会の説明では、聞かれることは時期によって変わります。事故の直後から初めて受診したころまでは、事故の状況、ケガの状態、仕事への影響、通っている医療機関の確認が中心です。通院中は通院の状況や回復の度合いを確認され、必要に応じて面談を求められることもあります。時期ごとに表にしました。

時期 聞かれること・届くもの 答えるときのコツ
事故直後〜初診前後 事故の状況、ケガの状態、仕事への影響、通院先の医療機関 医師に言われたことと自分が感じている症状を分けて話す
事故直後〜初診前後 同意書、口座確認の書類、通院交通費明細書が届く 内容を確かめてから返送する。分からない欄は担当者に聞く
通院中 通院の状況、回復の度合い。面談を求められることもある 痛みの変化や仕事への支障を、日付とともに伝える
通院を終える時期 治療費の支払い終了の連絡 症状が残っているなら、医師に相談していることを伝える
示談 示談案と、損害をまとめた一覧表が届く すぐにサインせず、内容を確認する
ユイ

同意書というのは、サインして大丈夫なものですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会によると、医療機関への支払いにあたって被害者の個人情報を扱うために必要な書類です。保険会社が医療機関に通院の内容や経過を確認できるようにするためのものなので、内容を確かめたうえで返送してください。同意書や、医療機関への支払いの仕組みについては、「交通事故で整骨院を転院したいときの手続きと保険会社への連絡の順番」でもふれています。

ユイ

症状のことを聞かれたら、どう答えればいいですか?

院長 佐藤

痛む場所、どんな動きでつらいか、医師から言われたことを、そのまま伝えてください。けがの診断をするのは医師なので、自分で病名を推測して話す必要はありません。症状の出方や経過には個人差があるので、ほかの人と比べず、自分の状態を伝えることが大切です。

ユイ

整骨院にも通いたいときは、どう伝えればいいでしょう?

院長 佐藤

通い始める前に、「整形外科の医師に相談したうえで、整骨院にも通いたい」と相手の保険会社に伝えてください。整骨院の施術費が自賠責保険の対象になるかは、事故の状況や医師の判断、保険会社とのやり取りで変わります。条件や流れは「交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ」にまとめました。

保険会社とのやり取りで気をつけたいこと

ユイ

電話で何か言ってはいけないことはありますか?

院長 佐藤

気をつけたいのは、事実と推測を混ぜないことです。日本損害保険協会は、保険金の請求に必要な書類で事実と異なる記載をした場合、支払いの額が差し引かれることがあると説明しています。覚えていないことは覚えていない、分からないことは分からないと伝えるのが、いちばん自分を守る話し方です。

ユイ

相手の人から、直接「お金で済ませたい」と言われたらどうしましょう?

院長 佐藤

その場で約束はしないでください。日本損害保険協会は、保険を使う可能性があるときは当事者同士で示談や約束をせず、保険会社に相談するよう案内しています。一度示談をすると内容の変更ができず、あとで新しい損害が分かっても十分な賠償を受けられなくなるおそれがあるとされています。

ユイ

通院の費用を自分で払ったときは、どうすればいいですか?

院長 佐藤

領収書を必ず取っておいてください。日本損害保険協会も、費用を自分で負担した場合は領収書を保管するよう案内しています。交通費も日付・区間・金額をメモしておきましょう。どこまで支払いの対象になるかは、保険会社に確認してください。

場面 避けたいこと こうすると安心
事故の状況を聞かれた 覚えていないことを推測で話す 覚えている事実だけを話し、分からない点はそう伝える
相手から直接連絡が来た その場で示談やお金の約束をする 保険会社に相談してから返事をする
書類が届いた 中身を読まずにサインして返す 分からない欄を担当者に聞いてから返送する
自分で費用を払った 領収書を捨てる 領収書と交通費のメモを保管する
示談案が届いた 内容に疑問があるままサインする 担当者に質問するか、弁護士などに相談する

連絡が来ない・話がかみ合わないとき

ユイ

事故から数日たっても、相手の保険会社から連絡が来なかったら?

院長 佐藤

日本損害保険協会は、連絡が来ない理由として三つを挙げています。相手が保険会社に連絡していない、相手が自動車保険に入っていない、事故の状況について当事者の言い分が食い違っていて保険会社が判断できていない、の三つです。対応としては、相手に直接確認する、自分の保険会社に相談する、相手の保険会社に直接連絡する、という方法が示されています。

ユイ

相手が保険に入っていなかったら、どうなるのですか?

院長 佐藤

相手が任意の自動車保険に入っていない場合でも、自分の保険に人身傷害補償保険などが付いていれば補償を受けられることがあります。ここでも、自分の保険会社に早めに連絡しておいたことが生きてきます。国土交通省によると、相手側から賠償が受けられない場合は、相手が入っている自賠責保険の保険会社に被害者が直接請求する方法もあります。手続きは保険会社に確認してください。

ユイ

担当者と話しても納得できないときは、どこに相談すればいいですか?

院長 佐藤

保険会社の対応についての相談や苦情は、日本損害保険協会のそんぽADRセンターが受け付けています。示談や賠償額の相談は、日弁連交通事故相談センターなどの相談窓口で弁護士に話を聞いてもらう方法があります。お住まいの自治体に交通事故の相談窓口がある場合もあるので、ひとりで抱え込まずに使ってください。

困りごと 相談先の例
相手の保険会社から連絡が来ない 自分の保険会社、相手の保険会社
保険会社の説明や対応に納得できない 保険会社の相談窓口、そんぽADRセンター
示談の内容や賠償額が適切か分からない 弁護士、日弁連交通事故相談センター
症状や通院について 整形外科などの医療機関の医師

よくある質問

ユイ

保険会社に連絡するのが遅れてしまったら、どうなりますか?

院長 佐藤

保険の契約者には遅滞なく通知する義務があり、通知を怠ったことで保険会社に損害が出た場合は、その分が差し引かれることがあると日本損害保険協会は説明しています。遅れてしまったと気づいたら、その時点ですぐに連絡してください。事情は正直に伝えましょう。

ユイ

保険会社の担当者に、整骨院に通うのはやめるよう言われたらどうすればいいですか?

院長 佐藤

まず、理由を担当者に聞いてください。そのうえで、整形外科の医師に今の症状と整骨院での施術について相談し、医師の考えを確認します。施術費の扱いは、医師の判断や保険会社とのやり取りで変わるため、医師の意見をもとに保険会社と話し合うのが基本です。

ユイ

相手の保険会社から、会って話をしたいと言われました。応じたほうがいいですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会の説明でも、通院中に保険会社が必要に応じて面談を求めることがあるとされています。日時や場所、何を確認したいのかを先に聞いておくと安心です。当日は医師に言われたことや症状の変化をメモにして持って行き、その場で示談や金額の約束はしないようにしてください。

ユイ

自分の保険会社には報告と補償の確認、相手の保険会社には聞かれたことに事実で答える、ということですね。メモを作ってから電話してみます。

院長 佐藤

それで十分です。症状のことは医師に、保険の取り扱いは保険会社に、示談のことは弁護士などの専門家に、と相談先を分けておくと迷いにくくなります。

院の案内

項目 内容
名称 らいと鍼灸・整骨院
柔道整復師 佐藤 亮 (さとう りょう)
所在地 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F
電話 03-5879-6685
施術時間 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分)
休み 日曜・祝日・水曜午後
予約 予約制
駐車場 なし (近隣にコインパーキングあり)

※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。