交通事故で整骨院を転院したいときの手続きと保険会社への連絡の順番
先生、追突事故のあと整形外科と整骨院に通っているのですが、来月から勤務先が変わって、今の整骨院に通うのが難しくなりそうです。途中で整骨院を変えることはできるのでしょうか?
引っ越しや勤務先の変更で通いにくくなるのは、よくあることです。途中で整骨院を変えることは、手順を踏めば考えられます。ただ、黙って通う先を変えてしまうと、施術費の扱いで保険会社と話がかみ合わなくなることがあります。誰に、何を、どの順番で伝えるかを一緒に確認していきましょう。
整骨院を変えたいと思ったときに最初に考えること
変えたい理由は、何か説明しないといけないのですか?
保険会社には、変える理由を聞かれることが多いので、自分の中で整理しておくと話がスムーズです。理由によって、相談する相手も少し変わります。代表的なものを表にしてみます。
| 変えたい理由の例 | まず相談したい相手 | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 引っ越し・勤務先の変更で通いにくい | 保険会社 | 新しい整骨院の名称・所在地・電話番号を控えておく |
| 施術時間が生活に合わない | 保険会社 | 通える曜日や時間帯を整理しておく |
| 施術の内容や説明に不安がある | 今の整骨院、整形外科の医師 | 不安な点をまず今の整骨院に伝え、医師にも経過を相談する |
| 症状が変わってきた | 整形外科の医師 | 整骨院を変えるより先に、医師の診察を受ける |
症状が変わってきた場合は、整骨院を変える前に医師なんですね。
はい。痛む場所が増えた、しびれが出てきたなど、症状が変わったときは、まず整形外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。けがの状態を診断できるのは医師で、整骨院では診断もレントゲンなどの画像検査もできません。通う整骨院を変えることで解決する話なのか、医師の判断が先に必要な話なのかを分けて考えるのが大切です。
転院の前に押さえたい基本の順番
そもそも、整骨院に通い始めたときの順番も、合っていたか不安になってきました。
基本は、警察への届け出、整形外科などの医療機関で医師の診察、保険会社への連絡、そして医師に相談のうえで整骨院、という順番です。国土交通省も、軽傷だと思っても速やかに医師の診断等を受けるよう案内していて、受診が遅れると事故との因果関係が認められないことがあるとしています。この順番の詳しい説明は「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」にまとめています。
整骨院を変えるときも、その順番が関係するんですか?
関係します。整骨院を変えても、医療機関で医師に経過を見てもらうという土台は変わりません。新しい整骨院に移ったあとも、整形外科への定期的な受診は続けてください。医師の記録がつながっていることが、施術の必要性を説明するうえでも大事になります。
整骨院を変えるときの手続きの流れ
具体的には、どんな順番で進めればいいですか?
順番を表にまとめます。大事なのは、新しい整骨院に行く「前」に保険会社へ連絡することです。
| 順番 | 誰に | 何をするか |
|---|---|---|
| 1 | 整形外科の医師 | 整骨院を変えたいことを伝え、経過を見てもらう |
| 2 | 保険会社 | 通う整骨院を変えたいこと、理由、新しい整骨院の名称・所在地・電話番号、通い始めたい日を伝える |
| 3 | 保険会社 | 同意書などの書類が必要かを確認し、案内があれば内容を確かめて返送する |
| 4 | 今の (前の) 整骨院 | 通院を終える日を伝え、それまでの施術費の扱いや書類について確認する |
| 5 | 新しい整骨院 | 事故の日、医療機関の受診状況、保険会社の担当者名などを伝えて施術を始める |
連絡する保険会社は、相手の保険会社でいいんですよね?
多くの場合は、施術費の支払いを担当している保険会社です。相手が入っている保険会社のこともあれば、日本損害保険協会が案内しているように、自分が入っている自動車保険の人身傷害保険を使う場合などは、その保険会社が支払いを担当していることもあります。どちらか分からなければ、これまで連絡を取っていた担当者に確認するのが確実です。
新しい整骨院を先に決めてしまってもいいでしょうか?
候補を探しておくのはかまいません。ただ、施術を受け始めるのは、保険会社に連絡して扱いを確認してからにしてください。新しい整骨院に予約の電話をするときに、交通事故のけがであること、保険会社へ連絡済みかどうかを伝えておくと、整骨院側も準備ができます。
保険会社への連絡で伝えること・確認すること
保険会社に電話するとき、何を伝えればいいか緊張します。
伝えることと確認することを、メモにしてから電話すると落ち着いて話せます。表にまとめるので、そのまま使ってください。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 伝えること | 事故の日と自分の氏名、保険会社の受付番号 (分かれば) |
| 伝えること | 整骨院を変えたい理由 (引っ越し・勤務先の変更など) |
| 伝えること | 新しい整骨院の名称・所在地・電話番号、通い始めたい日 |
| 伝えること | 整形外科には引き続き通う予定であること |
| 確認すること | 新しい整骨院の施術費をどう扱うか (保険会社から整骨院へ支払うのか、いったん自分で支払うのか) |
| 確認すること | 同意書など、返送が必要な書類はあるか |
| 確認すること | 前の整骨院の施術費の精算はどうなるか |
| 確認すること | 通院の交通費の扱い |
「保険会社から整骨院へ支払う」というのは、どういう仕組みですか?
日本損害保険協会によると、交通事故の治療費は、被害者が医療機関に支払い、後日、加害者から賠償されるのが原則です。そのうえで、保険会社が被害者に代わって医療機関に直接支払う方法があり、そのためには被害者・医療機関・保険会社の三者の合意が必要だと説明されています。この説明は病院などの医療機関についてのものなので、整骨院の施術費がどう支払われているかは、保険会社に確認してください。保険会社から整骨院へ直接支払われている場合は、三者の合意が前提になるため、通う先が変われば新しい整骨院と保険会社とのあいだで改めて確認が必要になります。
同意書というのは、何に同意するものですか?
日本損害保険協会の説明では、保険会社が医療機関に治療内容や経過などを確認すること、そのために医療機関が保険会社に情報を提供することへの同意です。保険会社が支払いを判断するには、こうした情報が欠かせないからです。整骨院を変えるときに同意書などの書類が必要かどうかは、保険会社に確認してください。書類が届いたら、内容を確かめて返送します。
前の整骨院と整形外科への伝え方
今の整骨院には、何と言えばいいのでしょう。気まずいです。
引っ越しや勤務先の変更など、事実をそのまま伝えれば大丈夫です。整骨院の側も、保険会社とのやり取りや書類の準備があるので、通院を終える日が分かっていると助かります。言いにくい理由のときは、無理に細かく話す必要はありません。
前の整骨院で、何か書類をもらう必要はありますか?
自賠責保険の損害調査では、医師の診断書や診療報酬明細書に加えて、柔道整復の場合には施術証明などの書類が使われます。前の整骨院に通っていた期間の分も、こうした書類がかかわってきます。どの書類がいつ必要になるかは保険会社が案内するので、前の整骨院では「保険会社から書類の依頼があったら対応してもらえるか」を確認しておくと安心です。
整形外科の先生にも、整骨院を変えたことを伝えたほうがいいですか?
伝えてください。医師は、ユイさんがどこで、どんな施術を受けているかを知ったうえで経過を見ています。通う整骨院が変わったことを伝えておくと、記録の流れが途切れません。骨折や脱臼がある場合は、柔道整復師法第17条により、応急手当を除いて施術に医師の同意が必要なので、新しい整骨院に移る前に必ず医師に相談してください。
| 伝える相手 | 伝えておきたいこと |
|---|---|
| 前の整骨院 | 通院を終える日、変える理由 (話せる範囲で)、書類の依頼があったときの対応 |
| 整形外科の医師 | 新しい整骨院の名称、移る時期、現在の症状 |
| 新しい整骨院 | 事故の日、受診している医療機関、保険会社名と担当者名、これまでの通院の経過 |
転院で気をつけたいこと
新しい整骨院が合うか分からないので、しばらく両方に通ってもいいですか?
同じけがで二つの整骨院に同時に通うことは、おすすめしません。自賠責保険の支払基準では、柔道整復師の施術費用は「必要かつ妥当な実費」とされています。同じ部位に同じような施術を二か所で受けると、必要かつ妥当と認められない部分が出てくることがあります。どうしても事情があるときは、医師と保険会社に相談してから決めてください。
変える手続きのあいだ、通院が空いてしまいそうです。
手続きの都合で数日空くこと自体は、珍しくありません。ただ、理由なく長く空くと、症状が落ち着いたのか、事故との関係があるのかを説明しにくくなることがあります。痛みが続いているなら、その間も整形外科の受診は続けてください。症状の経過には個人差があるので、通院のペースは医師と相談して決めるのが基本です。
新しい整骨院のほうが遠くなる場合、交通費はどうなりますか?
支払基準では、通院費は「通院、転院、入院又は退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費」とされています。転院にかかる交通費も項目としては含まれていますが、支払われるかどうかや金額は、必要かつ妥当かで判断されます。利用した交通手段と区間、日付と金額を記録しておき、扱いを保険会社に確認してください。
整骨院を変えると、自賠責保険で払われる上限もリセットされるのでしょうか?
リセットはされません。国土交通省によると、自賠責保険の傷害による損害の支払限度額は被害者1人につき120万円で、これは医療機関や整骨院の費用、通院交通費、慰謝料などを合わせた額です。整骨院を変えても、同じ事故の同じけがとして合計で考えます。また、自分で請求する被害者請求 (傷害) の期限は事故発生の翌日から3年以内なので、手続きが長引くときも意識しておいてください。自賠責で施術費が対象になる条件は「交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ」でくわしく説明しています。
よくある質問
整骨院を変えたいと伝えたら、保険会社に断られることはありますか?
保険会社は、変える理由や通院の状況、医師の見解などを確認したうえで施術費の扱いを判断します。そのため、条件を確認されたり、医師に相談するよう言われたりすることはあります。話がまとまらないときは、そんぽADRセンターなどの相談窓口を利用してください。
整骨院から整形外科だけの通院に切り替えることもできますか?
できます。症状の状態によっては、医師の判断で医療機関での治療に一本化することもあります。その場合も、保険会社と前の整骨院に、整骨院への通院を終えることを伝えてください。
整骨院を変えたことは、新しい整骨院に話したほうがいいですか?
話してください。事故の日、これまでどこで、どのくらいの期間施術を受けていたか、整形外科で医師にどう言われているかが分かると、新しい整骨院でも状態を確認しながら施術を行えます。保険会社の担当者名も伝えておくと、連絡がスムーズです。
前の整骨院の施術費は、あとから自分で払うことになりますか?
前の整骨院の施術費がどう扱われていたかによります。保険会社から整骨院へ支払われていた場合は、変える日までの分の精算をどう進めるかを、前の整骨院と保険会社の両方に確認してください。いったん自分で支払っていた場合は、領収書を保管しておきましょう。
新しい整骨院に行く前に、まず整形外科の先生と保険会社に連絡すればいいんですね。メモを作ってから電話してみます。
それがいちばん確実な進め方です。医師への相談、保険会社への連絡、前の整骨院への連絡、そして新しい整骨院、という順番を守れば、施術費の扱いで困ることは減らせます。分からないことがあれば、遠慮なく保険会社の担当者に確認してください。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



