交通事故で整骨院に自賠責は使える? 対象になる条件と流れ
先生、追突事故のあと整形外科に通っているのですが、首の張りが続いていて整骨院にも通いたいと考えています。整骨院でも自賠責保険は使えるのでしょうか?
気になるところですよね。自賠責保険の支払基準には、柔道整復師の施術費についての項目があります。ただ「整骨院なら必ず使える」というものではなく、医師の判断や保険会社とのやり取り、事故の状況など、いくつかの条件のうえで扱いが決まります。条件と流れを順番に見ていきましょう。
自賠責保険で整骨院の施術費はどう扱われるか
そもそも自賠責保険は、何のための保険なんですか?
自賠責保険 (車やバイクを持つ人が必ず入る保険) は、自動車による人身事故の被害者を救うための保険です。損害保険料率算出機構は、他人の生命や身体への損害が対象で、物の損害は対象外だと説明しています。つまり、ユイさんのように追突された側のけがが、まず考えられる対象です。
整骨院の費用については、どこかに決まりがあるのでしょうか?
国土交通省は、保険会社は「支払基準」に従って支払わなければならないと案内しています。この支払基準は、金融庁と国土交通省の告示 (平成13年告示第1号) として定められたものです。その中の傷害による損害の項目に「柔道整復等の費用」があり、「免許を有する柔道整復師」が行う施術費用は「必要かつ妥当な実費とする」と書かれています。
「必要かつ妥当な実費」というのは、どういう意味ですか?
そのけがに対して必要で、内容や金額が妥当だと認められた分を支払う、という考え方です。整骨院に通ったという事実だけで、どんな施術費でも支払われるわけではありません。何が「必要かつ妥当」かは、医師の診察の記録や施術の内容、事故の状況などをもとに判断されます。
| 支払基準の項目 (傷害による損害の一部) | 告示に書かれている考え方 |
|---|---|
| 柔道整復等の費用 | 免許を有する柔道整復師などが行う施術費用は、必要かつ妥当な実費 |
| 通院費 | 通院などに要する交通費として必要かつ妥当な実費 |
| 損害全体の区分 | 積極損害 (治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害、慰謝料 |
施術費が対象になるための条件
対象になるかどうかは、どんなところで決まるのでしょうか?
公的な案内から確認できる範囲で、押さえておきたい条件を表にまとめます。どれか一つで決まるのではなく、全体を見て判断されるものです。
| 条件 | 確認したいこと | 根拠・関係する情報 |
|---|---|---|
| 相手のいる人身事故か | 他人の車による事故で、けがをしているか | 自賠責は他人の生命・身体への損害が対象、物損は対象外 (損害保険料率算出機構) |
| 医療機関で医師の診察を受けているか | 事故との関係やけがの状態を医師が診察・記録しているか | 請求には医師の診断書や診療報酬明細書が必要 (国土交通省) |
| 医師に相談しているか | 整骨院での施術について医師に相談しているか | 診断は医師が行う。施術はその方針に沿って行う |
| 保険会社に連絡しているか | 整骨院へ通う前に、通院先として伝えているか | 施術費の扱いや必要書類は保険会社が案内する |
| 施術が必要かつ妥当か | けがの状態に応じた施術・通院か | 支払基準「必要かつ妥当な実費」 |
| 過失や限度額 | 自分にも大きな過失がないか、限度額の範囲内か | 重大な過失による減額、傷害の限度額 (支払基準・国土交通省) |
医師への相談は、どうしても必要なんですか?
けがの状態を診断できるのは医師だけで、整骨院では診断もレントゲンなどの画像検査もできません。医療機関の記録がないと、そのけがが事故によるものか、施術が必要だったかを説明する土台がなくなってしまいます。なお、骨折や脱臼の患部への施術は、柔道整復師法第17条により、応急手当を除いて医師の同意が必要です。
保険会社には、整骨院に行ってから伝えればいいでしょうか?
通い始める前に伝えるのがおすすめです。あとから連絡すると、施術費の扱いについて保険会社と話がかみ合わなくなることがあります。どんな書類が必要か、支払いはどう進むかも、そのときに確認しておくと安心です。
整骨院に通い始めるまでの流れ
順番としては、どう進めればいいですか?
基本の順番は、警察への届け出、医療機関での医師の診察、保険会社への連絡、そして医師に相談のうえで整骨院、です。それぞれの細かい手続きは「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」にまとめているので、ここでは自賠責との関係で大事な点だけお話しします。
整骨院に通い始めたら、整形外科には行かなくてもいいのですか?
いいえ、整骨院に通っている間も、定期的に医療機関を受診して医師に経過を見てもらってください。症状の経過には個人差があり、医師が状態を確認し続けることが大切です。医師の記録が途切れると、施術の必要性を説明しにくくなることもあります。
事故の直後は痛くなかったのですが、それでも対象になりますか?
痛みがあとから出てくることはあります。気づいた時点で早めに医療機関を受診し、事故の日と症状が出た日を医師にそのまま伝えてください。症状の出方については「交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング」でも説明しています。
費用が支払われるまでの流れ
施術費は、実際には誰がどうやって払うのでしょうか?
国土交通省の案内では、自賠責保険の請求には2つの方法があります。加害者がまず被害者に賠償金を払い、そのあとで加害者が保険会社に請求する方法と、加害者側から賠償を受けられない場合に、被害者が加害者側の保険会社へ直接請求する方法です。実際にどの方法で、どの窓口が手続きを進めるかは事故ごとに違うので、保険会社に確認してください。
| 請求の方法 | 内容 (国土交通省の案内による) |
|---|---|
| 加害者請求 | 加害者が被害者に損害賠償金を支払い、そのあとで自賠責保険に請求する |
| 被害者請求 | 加害者側から賠償が受けられない場合、加害者側の保険会社に直接請求する |
| 被害者請求の期限 (傷害) | 事故発生の翌日から3年以内 |
請求すれば、そのまま支払われるのですか?
請求のあと、損害保険料率算出機構の調査事務所が、事故の状況や支払いの的確性、損害の額などを公正かつ中立な立場で調査します。日本損害保険協会によると、その調査結果をもとに保険会社が支払額を決めて支払います。調査の中では、医療機関に治療状況を確認することもあります。
整骨院の費用も、その調査の対象になるんですね。
はい。だからこそ、医師の診察の記録と、保険会社への事前の連絡が大切になります。通院は症状に応じて必要な分だけにし、施術の内容や回数で気になることがあれば、医師や保険会社に相談してください。
過失がある場合と限度額
私は止まっていたところを追突されましたが、自分にも過失がある事故だとどうなりますか?
支払基準には「重大な過失による減額」という決まりがあります。被害者の過失がとても大きい場合に、支払われる額が減らされる仕組みです。傷害の場合の考え方を表にします。
| 被害者の過失割合 | 傷害に係るものの減額 (支払基準による) |
|---|---|
| 7割未満 | 減額なし |
| 7割以上10割未満 | 2割減額 |
7割未満なら減額されないんですね。
支払基準の上ではそうなっています。ただし、傷害による損害額が20万円未満の場合などの扱いも別に決められていますし、過失割合そのものがどう判断されるかは事故ごとに違います。過失割合に納得がいかないときは、整骨院ではなく、弁護士や日弁連交通事故相談センターなどの公的な相談窓口に相談してください。
上限の金額もあるのでしょうか?
国土交通省によると、自賠責保険の傷害による損害の支払限度額は、被害者1人につき120万円です。この中には施術費だけでなく、医療機関の費用、通院交通費、休業損害、慰謝料なども含まれます。限度額をこえる部分の扱いは、相手が入っている任意保険の内容などで変わるため、保険会社に確認してください。
対象にならない・確認が必要なケース
自賠責が使えないこともあるのですか?
あります。代表的なものを表にまとめます。ここに当てはまるかどうかの判断は、保険会社や損害調査によって行われるので、迷ったら早めに確認してください。
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 自分が運転していた車の単独事故で、運転者自身がけがをした | 自賠責は他人の生命・身体への損害が対象のため、運転者自身のけがは基本的に対象外。同乗していた人のけがは対象になる場合があるので、保険会社に確認する |
| 車や持ち物が壊れただけ | 物損は自賠責の対象外 |
| 医療機関を受診していない | 医師の診断書などの書類がそろわず、事故との関係を説明しにくい |
| 症状に比べて施術や通院が多い | 「必要かつ妥当」と認められない部分は支払われないことがある |
| ひき逃げなどで相手が分からない | 自賠責保険は使えないため、医療機関に健康保険を使う旨を伝える (国土交通省) |
通院の回数は、多いほうがいいと聞いたこともあります。
通院は症状に応じて必要な分だけにしてください。必要以上の通院は、施術費が認められない原因になるだけでなく、不正な請求と受け取られるおそれもあります。慰謝料や示談の具体的な金額については、整骨院ではお答えできないので、弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
よくある質問
整骨院だけに通って、整形外科には行かなくても自賠責は使えますか?
まず整形外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。自賠責保険の請求には医師の診断書などが必要で、診断は医師が行います。医師の診察がないまま整骨院だけに通うと、施術費が対象として認められにくくなります。
整骨院の施術費は、窓口で払う必要がありますか?
支払いの進め方は、事故の状況や保険会社とのやり取りで変わります。通い始める前に保険会社に連絡し、施術費をどのように扱うかを確認してください。整骨院でも、保険会社から案内された内容を確認したうえで手続きを進めます。
自分にも少し過失がある事故でも、整骨院の施術費は対象になりますか?
支払基準では、傷害の場合、被害者の過失が7割未満なら減額なしとされています。ただし、対象になるかどうかは医師の判断や施術の必要性なども含めて判断されます。過失割合の判断に疑問があるときは、弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
通勤中の事故だったのですが、何か違いはありますか?
通勤中の事故では、労災保険と自賠責保険のどちらを先に使うかを選べる仕組みがあります。同じけがについて両方から重ねて受け取ることはできません。どちらを使うかは、勤務先や保険会社、労働基準監督署に相談して決めてください。
整骨院なら自動的に使えるものだと思っていました。まずは整形外科の先生に相談して、それから保険会社に連絡してみます。
それがいちばん確実な進め方です。自賠責保険の支払基準には柔道整復の施術費の項目がありますが、対象になるかは条件しだいです。医師の診察と保険会社への確認を済ませたうえで整骨院に通うことになったら、痛みの状態を確認しながら施術を行います。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



