交通事故のむちうち症状はいつから? 後から痛むときの受診タイミング
先生、昨日の夕方に追突事故に遭いました。その場では体はなんともなくて、警察の方にも「大丈夫です」と言ってしまったんです。でも今朝起きたら首が少し張っている気がして、これってむちうちなのでしょうか?
それは心配ですね、まずは体を休めながら、落ち着いて一つずつ確認していきましょう。むちうちかどうかを判断する、つまり診断するのは医師です。私から言えるのは、事故の直後には何も感じなくても、あとから首や肩に違和感が出てくることは珍しくないということです。今日のうちに整形外科などの医療機関で医師の診察を受けることを考えてみてください。
事故直後に痛くなくても受診をすすめる理由
事故のときは本当に痛くなかったんです。なのに、どうして今になって首が張ってくるのでしょうか?
事故の直後は、驚きや緊張で体の不調に気づきにくいことがあると言われています。国土交通省も「その場では軽傷だと思っても、あとで意外とケガが重かったという例もあります」と案内しています。痛みが出る時期や強さには個人差があるので、「その場で痛くなかったから大丈夫」とは言い切れないのです。
警察に「けがはない」と言ってしまったのも気になっています。
その気持ちはよく分かります。あとから体の不調に気づく方は少なくありませんし、そこから手続きを進める方法もあります。手続きの話は後半でまとめますので、まずは体のことから確認しましょう。
むちうちとはどんな状態か
そもそも「むちうち」って、どういう状態のことを言うのですか?
「むちうち」は一般的な呼び方で、医療機関では外傷性頚部症候群 (けがによって首のまわりに起こるさまざまな症状) や頚椎捻挫 (首のねんざ) などと呼ばれることがあります。追突などの衝撃で、首がむちのようにしなる動きをすることから、この呼び名が広まりました。どの診断名がつくかは、医師が診察や検査をして判断します。
具体的には、どんな症状が出るのでしょうか?
日本整形外科学会の一般向けの解説では、首の痛み、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれといった症状が挙げられています。首だけでなく、頭や腕のほうに症状が出ることもあるのが特徴です。下の表は、医療機関が公開している情報をもとにした例で、すべての人に出るものではありません。
| 体の場所 | 出ることがある症状の例 | 確認先 |
|---|---|---|
| 首 | 首の痛み、首を動かしたときの痛み、動かしにくさ | 整形外科などの医療機関 |
| 肩・背中 | 肩こり、肩から肩甲骨のあたりの張り | 整形外科などの医療機関 |
| 頭 | 頭痛、頭が重い感じ | 医療機関 (症状に応じて医師が判断) |
| 腕・手 | 手や腕のしびれ | 医療機関 (症状に応じて医師が判断) |
| その他 | めまい、吐き気、耳鳴り、目の疲れ | 医療機関 (症状に応じて医師が判断) |
首のけがなのに、めまいや吐き気まで出ることがあるんですね。
徳島県医師会のコラムでも、首の痛みのほかに吐き気や目の痛み、めまい感、耳鳴りなど、いろいろな症状が出ることがあると説明されています。ただ、こうした症状はむちうち以外の原因で起こることもあります。自分で「むちうちだろう」と決めつけず、気になる症状はすべて医師に伝えて判断してもらってください。
症状はいつから出ることがあるか
症状が出てくるのは、事故からどのくらいたってからなのでしょうか?
徳島県医師会のコラムでは、けがをした直後は症状がないこともあり、その後数日のうちに首を動かしたときの痛みや頭痛、しびれ感などが出てくることがしばしばあると説明されています。また、しばらくたってから肩こりや頭痛、めまいなどが続くことがあるとも書かれています。いつ、どんな症状が出るかは人によって違い、症状や経過には個人差があります。
「何日たったら大丈夫」という目安はないのですか?
「何日たてば安心」と言える公的な目安は、私が確認した範囲では見当たりませんでした。インターネットには具体的な日数を書いた記事もありますが、根拠がはっきりしないものもあります。日数で区切って様子を見るより、「違和感が出たら早めに医療機関へ」と考えておくほうが安全です。
| 時期 | 起こりうること (医療機関の情報による例) | このときにすること |
|---|---|---|
| 事故の直後 | 驚きや緊張で痛みに気づきにくい。症状がないこともある | 痛みがなくても、できるだけ早めに医療機関で診察を受ける |
| その後数日のうち | 首の痛み、頭痛、肩の張り、しびれ感などが出ることがある | 症状が出たら速やかに医療機関を受診し、事故のことを伝える |
| しばらくたってから | 肩こり、頭痛、めまいなどが続くことがある | 通院中の医師に、新しく出た症状や続いている症状を伝える |
私の場合は、事故の翌朝に首が張ってきた、ということになりますね。
そうですね。その「いつから、どこが、どんなふうに」を、そのまま医師に伝えることがとても大事です。症状が出たタイミングの記録は、医師が判断する材料にもなりますし、あとで保険会社とやり取りするときにも役立ちます。
受診のタイミングと医療機関で伝えること
今日はもう仕事を休めないので、週末まで様子を見てから病院に行こうかと思っていたのですが、だめでしょうか?
できれば先に延ばさず、早めに受診することをおすすめします。栃木県の交通事故相談の案内でも「身体に痛みや不調を感じたら、速やかに医師の診断を受けてください」とされています。また国土交通省は、事故後に速やかに受診しない場合、交通事故との因果関係 (事故が原因でけがをしたというつながり) が認められないことがあると注意をうながしています。
何科に行けばいいのか迷います。
首や肩、腰などの痛みであれば、まずは整形外科が一般的な窓口です。頭痛やめまい、吐き気などが強いときは、どの科がよいか医療機関に電話で相談してみてください。症状が急に強くなった、手足に力が入りにくいなど、いつもと違う様子があるときは、ためらわずにすぐ医療機関に連絡してください。
受診したら、どんなことを伝えればいいですか?
下の表のような内容をメモにして持っていくと、伝え忘れを減らせます。とくに大事なのは、痛む場所をすべて伝えることです。軽く感じる場所も含めて伝えておくと、医師が状態を判断しやすくなります。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 事故の日時と状況 | 10月3日の17時30分ごろ、信号待ちで後ろから追突された |
| 症状が出始めた時期 | 事故の直後は痛みがなく、翌朝から首が張ってきた |
| 症状のある場所 | 首の後ろ、右肩、頭の後ろなど、気になるところはすべて |
| 症状の様子 | 首を回すと痛い、手がしびれる感じがする など |
| 今後の希望 | 整骨院での施術も考えている、など相談したいこと |
整骨院に行くのは、そのあとになるのですね。
はい、むちうちかどうかの診断や画像検査は医師が行うものなので、整骨院より先に医療機関です。整骨院への通院を考える場合は、医師に相談し、保険会社にも連絡してからにしてください。整形外科と整骨院の役割の違いや併用の順番は、「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」で詳しく説明しています。
後から痛みが出たときの手続き
警察には「けがはない」と伝えてしまいました。今から何かできることはありますか?
国土交通省は、交通事故の警察への報告は義務であり、特にけがを負った場合は「人身扱い」の届出が重要だと案内しています。栃木県の案内でも、けがをしている場合は診断書を警察に提出して人身事故として届け出るとされています。まず医療機関で医師の診察を受け、そのうえで事故を届け出た警察署に連絡して、必要な手続きを確認してください。
保険会社にも連絡したほうがいいですか?
はい、医療機関を受診したことや、後から症状が出てきたことは、早めに保険会社にも伝えておきましょう。費用の扱いや必要な書類は、事故の状況や保険の契約内容によって変わるので、保険会社の案内に従ってください。自賠責保険 (車を持つ人が必ず入る保険) の仕組みや上限は、さきほどの併用の記事でまとめています。
よくある誤解と注意点
ほかにも、勘違いしやすいことはありますか?
むちうちの症状と受診のタイミングについて、よく聞く誤解を表にしました。どれも、体のためにも手続きのためにも知っておいてほしいことです。
| よくある誤解 | 実際のところ |
|---|---|
| 事故のときに痛くなければ、けがはしていない | 事故の直後は不調に気づきにくく、あとから症状が出ることがある |
| 何日か様子を見てから受診すればよい | 速やかに受診しないと、事故との因果関係が認められないことがある |
| 首の痛みだけ伝えればよい | 頭痛やしびれ、めまいなども含め、気になる症状はすべて医師に伝える |
| むちうちかどうかは自分で判断できる | 診断は医師が行う。骨折や脱臼がないかの確認も医療機関で行う |
| 整骨院に先に行けば十分 | まず医療機関で医師の診察を受け、医師に相談したうえで整骨院へ |
慰謝料のことも気になってきました。通院の仕方で何か変わるのでしょうか?
通院は、症状に応じて必要な分だけにしてください。示談や賠償額のことは、整骨院ではお答えできません。弁護士や、日弁連交通事故相談センター、お住まいの自治体の交通事故相談所など、公的な相談窓口に相談してみてください。
よくある質問
事故から何日もたってから痛みが出た場合でも、受診していいのですか?
はい、気づいた時点でできるだけ早く医療機関を受診してください。医師には事故の日と、症状が出始めた日をそのまま伝えます。時間がたってからの受診になった場合の扱いは事故ごとに違うため、保険会社にも早めに相談してください。
痛みが軽いときでも、病院に行ったほうがいいのでしょうか?
軽く感じても、一度は医療機関で医師の診察を受けることをおすすめします。症状の出方や経過には個人差があり、あとから強くなることもあるためです。受診して何もなければ、それも安心材料になります。
むちうちかどうか、整骨院で判断してもらうことはできますか?
できません。むちうちかどうかの診断は医師が行い、レントゲンやMRIなどの画像検査も医療機関で受けるものです。整骨院では、医師の診察を受けたうえで、痛みの状態を確認しながら施術を行います。
通院中に新しい症状が出てきたら、どうすればいいですか?
次の受診を待たずに、通院している医療機関に連絡して医師に伝えてください。整骨院に通っている場合は、整骨院にも伝えてもらえると施術の際の確認に役立ちます。
痛くなかったから大丈夫、と思い込んでいました。今日のうちに整形外科に行って、首が張ってきたことを伝えてみます。
それがいちばん大切な一歩です。事故の直後に痛みがなくても、あとから症状が出ることはあります。気になる症状はすべて医師に伝え、警察署や保険会社への連絡も順番に進めていきましょう。整骨院に通うことになったときは、医師の方針に沿って、痛みの状態を確認しながら施術を行います。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。


