バイク事故で通院するときの注意 受診の順番と確認する保険

ユイ

先生、今日はバイクの事故について聞きたいんです。弟がバイクで走っていたら、右折してきた車とぶつかって転んでしまって。本人は「ひじと膝をすりむいただけ」と言っているのですが、車の事故と同じように考えていいのでしょうか?

院長 佐藤

弟さん、心配ですね。まず、バイクの事故でも、警察へ届け出る、医療機関で医師の診察を受ける、保険会社へ連絡する、という最初の順番は車の事故と同じです。違ってくるのは、バイクには体を囲む車体がないので、転んだときに頭や胸、肩などを直接打ちやすい点と、事故の形によって使える保険が変わる点です。今日は、受診や通院のときに気をつけたいことを順番にお話しします。

バイク事故のあとも動く順番は同じ

ユイ

弟は、相手の運転手さんと連絡先を交換しただけで、警察には「たいしたことないので」と言いそびれたそうなんです。

院長 佐藤

国土交通省の自賠責保険のポータルサイトでは、交通事故にあった場合、警察への報告は義務とされていて、けがをした場合は「人身扱い」の届出が重要だと案内されています。日本損害保険協会も、事故が起きたらまずけが人の救護と安全の確保を行い、事故の大きさにかかわらず警察に連絡するよう呼びかけています。届け出がまだなら、事故があった場所を管轄する警察署に早めに相談してください。

ユイ

病院にはまだ行っていないみたいです。すり傷だけなら行かなくてもいいのでは、と本人は言っていて。

院長 佐藤

すり傷だけに見えても、早めに整形外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。国土交通省は、その場では軽傷だと思っても、あとで意外とけがが重かったという例もあると説明しています。受診が遅れると、交通事故との因果関係 (事故が原因のけがかどうか) が認められないことがあるとも書かれています。けがの程度や痛みが出る時期には個人差があります。

ユイ

救急車を呼ぶほどではないけれど、すぐ診てもらったほうがよさそうなときは、保険会社への連絡はあとでもいいのですか?

院長 佐藤

日本損害保険協会は、至急医療機関にかかる必要のあるけがの場合は、まず医師への受診を優先し、落ち着いてから保険会社に連絡するよう案内しています。体を先に考えてください。

順番 やること バイク事故で気をつけたい点
1 けが人の救護と安全確保、警察へ届け出る 「すり傷だけ」と思っても届け出る。けががあれば人身扱いの届出が重要
2 整形外科などの医療機関で医師の診察を受ける 打った場所 (頭、胸、肩、腰など) とヘルメットの状態を医師に伝える
3 保険会社へ連絡する 相手の保険会社と、自分が入っている任意保険の両方を確認する
4 整骨院に通いたいときは医師に相談する 骨折や脱臼の部位への施術には医師の同意が必要
5 通院先を保険会社にも伝える 医療機関と整骨院の両方に通う場合はどちらも伝える

バイク事故では頭と胸のけがに気をつける

ユイ

バイクの事故だと、どこをけがしやすいのですか?

院長 佐藤

けが全体の統計ではありませんが、警察庁の「二輪車の安全利用の促進」というページに、二輪車に乗っていて亡くなった方の損傷主部位 (いちばん重い傷を負った部位) の集計があります。令和3年から令和7年の合計で、頭部が37.9%、胸部が30.2%と、頭と胸で多くを占めています。亡くなった方では、頭や胸のけがが多いということです。

ユイ

ヘルメットをかぶっていれば大丈夫なのでしょうか?

院長 佐藤

同じ警察庁の資料では、ヘルメットを着用していて頭部の損傷で亡くなった方のうち、事故のときにヘルメットが脱げていた「離脱あり」が40%とされています。警察庁は、PS(c)マークかJISマークの付いたヘルメットを使い、あごひもを確実に締めるなど正しく着用するよう呼びかけています。

ユイ

胸のプロテクターについても書かれていますか?

院長 佐藤

はい。高速道路で二輪車に乗っていた方の集計で、胸部プロテクターを着用していなかった場合の致死率 (死傷者のうち亡くなった方の割合) は、着用していた場合の約1.2倍とされています。警察庁は、体の露出をなるべく少なくする服装と、できるだけプロテクターを着用することを勧めています。事故に遭ったあとの弟さんには「次に乗るときの備え」として伝えてあげてください。

警察庁の資料 (令和3年〜7年合計) 内容
二輪車乗車中に亡くなった方の損傷主部位 頭部 37.9%、胸部 30.2%
ヘルメット着用で頭部損傷により亡くなった方のヘルメット離脱 離脱あり 40%
高速道路での胸部プロテクター着用状況別の致死率 着用なしは着用ありの約1.2倍
院長 佐藤

この表は亡くなった方などの集計で、けがをした方全体の傾向を示すものではありません。弟さんのように歩いて帰れた場合でも、頭や胸を打ったかどうかは、診察のときに医師へ伝えておくと判断の材料になります。

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頭を打ったときに受診したいサイン

ユイ

弟は、転んだときにヘルメットごと頭を地面に打ったかもしれない、と言っていました。今は頭が痛いとは言っていないのですが。

院長 佐藤

江戸川区がMTBI (軽度外傷性脳損傷) について出しているリーフレットでは、交通事故などで頭を打ったり、強く揺さぶられたりすると、脳損傷が起こることがあると説明されています。そして、頭を打った後に次のような症状があるときには、医療機関を受診するよう呼びかけています。

頭を打った後に、こんな症状があるときは医療機関へ (江戸川区 MTBI リーフレット)
意識状態がいつもと違う
事故後の記憶がない
手足に力が入りにくい
手足がしびれる
けいれん・吐き気
めまい・頭痛
ユイ

今は何ともなくても、あとから出てくることもあるのですか?

院長 佐藤

同じリーフレットでは、頭を打った直後に症状がなく、数時間から数日、場合によってはさらにたってから症状が現れることがあると書かれています。衝撃が軽くてCT検査などで異常がない場合でも、あとから症状が出ることがあるそうです。頭を打ったかもしれないときは、そのことを医師に伝えてください。

ユイ

整骨院で「頭は大丈夫か」を確かめてもらうことはできますか?

院長 佐藤

できません。診断やCT・MRIなどの画像検査は医療機関で行うもので、整骨院では受けられません。頭痛やめまいが後から出てきたときの受診の考え方は「交通事故の頭痛やめまいが後から出たら? 最初に医療機関へ行く理由」にもまとめています。

相手がいる事故と単独事故で確認する保険

ユイ

費用のことも気になります。バイクの事故だと、どの保険を使うのですか?

院長 佐藤

事故の形で変わります。国土交通省によると、自賠責保険 (車やバイクを持つ人が必ず入る保険) は原付を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。ただし自賠責保険は「他人」をけがさせたときの損害が対象なので、国土交通省は、自損事故 (相手のいない単独の事故) で死傷した場合は対象にならないと説明しています。日本損害保険協会も、自賠責保険の補償は原則として相手と同乗者の人的損害に限られ、運転手自身のけがは含まれないとしています。

事故の形 主に確認する保険 確認先
車やほかのバイクとの事故 (弟さんのケース) 相手の自賠責保険、相手の任意保険 (加入していれば) 相手の保険会社
車やほかのバイクとの事故 (自分の側の補償) 人身傷害補償保険など (契約していれば) 自分の保険会社
単独で転んだ事故 運転していた本人のけがは自賠責保険の対象外。自損事故保険や人身傷害補償保険など (契約していれば) 自分の保険会社
後ろに人を乗せていた事故 同乗者のけがは自賠責保険の補償の対象 (原則) 保険会社
どの形でも 健康保険 (相手がいる事故は第三者行為の届出)、通勤中や仕事中なら労災保険 加入している健康保険の窓口、勤務先
院長 佐藤

この表は「何を確認するか」の一覧です。日本損害保険協会は、自動車保険の人身傷害補償保険は自分の過失部分を含めて自分の保険会社から支払われるもの、自損事故保険は自賠責保険では補償されない運転者自身の自損事故で支払われるもの、と説明しています。ただ、バイクの任意保険にどの補償が付いているかは契約によって違うので、加入している保険会社に確認してください。

ユイ

健康保険は使えますか?

院長 佐藤

国土交通省は、自動車事故によるけがでも、健康保険などの社会保険や労災保険を使えると案内しています。江戸川区の国民健康保険の案内では、他人の行為が原因のけがの医療費は原則として加害者が負担するものだけれど、「第三者行為による傷病届」を出せば国保を使って診療を受けられるとされています。会社の健康保険の方は、加入している健康保険の窓口に確認してください。通勤中の事故なら「通勤中の交通事故は労災と自賠責どちらを使う? 選び方と手続きの順番」も参考にしてください。

ユイ

右折してきた車が相手でも、弟にも過失があると言われるかもしれません。

院長 佐藤

過失割合 (事故の責任の割合) によって、相手の保険から支払われる額が変わることがあります。過失割合を決めるのは整骨院ではありませんし、私が見通しを言えるものでもありません。考え方は「交通事故で過失割合があるときの通院費は? 保険の考え方と確認の順番」に、自分の保険を使う流れは「人身傷害保険で整骨院に通うには? 自分の保険を使う場面と流れ」にまとめています。

整骨院への通院を考えるときの順番

ユイ

弟は肩も痛いと言っていて、医療機関に行ったあと整骨院にも通えたらと話しています。どう進めればいいですか?

院長 佐藤

まず医療機関で医師の診察を受けて、そのうえで整骨院に通いたいことを医師に相談してください。次に、費用の窓口になっている保険会社に、整骨院にも通いたいことを伝えます。通い始めたら、どこに通っているかも保険会社に伝えておきます。整骨院と医療機関を併用するときの考え方は「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」にまとめています。

ユイ

バイクで転ぶと、骨折していることもありそうですね。

院長 佐藤

柔道整復師法第17条で、骨折や脱臼の部位への施術は、応急手当の場合を除いて医師の同意が必要と決められています。骨折かどうかを確かめるのは医療機関の役割です。手をついた、肩から落ちた、腫れがひかないといったときは、なおさら先に医師の診察を受けてください。

ユイ

整骨院では、どんなことをしてもらえるのですか?

院長 佐藤

医師の診察と保険会社への連絡が済んでから、痛みの状態を確認しながら施術を行います。症状の出方や経過には個人差があるので、通う回数や期間は、医師の指示や体の状態に合わせて決めていきます。保険会社への連絡で伝えることは「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」にまとめています。

お金や示談の話はあわてない

ユイ

相手の方から「バイクの修理代と合わせて、その場でお金で済ませたい」と言われたら、どうすればいいですか?

院長 佐藤

その場で約束やお金の受け渡しをしないでください。日本損害保険協会は、事故直後に相手とその場で示談交渉やお金の受け渡しをすることは控えるよう呼びかけています。示談は口頭でも成立し、一度示談すると、あとから新しい損害が分かっても十分な賠償を受けられなくなるおそれがあるとされています。

ユイ

弟の場合、けががあとから重くなるかもしれないですしね。

院長 佐藤

そうですね。賠償額や示談の進め方は、整骨院ではお答えできません。保険会社に相談し、困ったときは公的な相談窓口を利用してください。窓口の種類は「交通事故の相談窓口はどこ? 公的な窓口の種類と使い分けの順番」にまとめています。通院は、症状に応じて必要な分だけにしてください。

よくある質問

ユイ

バイクの後ろに乗っていた友だちもけがをした場合はどうなりますか?

院長 佐藤

日本損害保険協会によると、自賠責保険の補償は原則として相手と同乗者の人的損害が対象です。同乗していた方も、警察への届け出と医療機関での診察を先に済ませてください。どの保険で手続きするかは保険会社に確認します。同乗者の補償については「交通事故で同乗者がけがをしたら? 使える補償の確認と通院の順番」にまとめています。

ユイ

ヘルメットをかぶっていて頭は打っていないと思うのですが、それでも受診したほうがいいですか?

院長 佐藤

頭以外にも、肩や胸、腰を打っていることがあります。国土交通省や日本損害保険協会は、その場では軽いけがだと思っても、あとから症状が出たり重いけがが分かったりすることがあると説明しています。早めに医療機関で医師の診察を受けて、転び方や打った場所を伝えてください。

ユイ

単独で転んだ場合も、整骨院に通えますか?

院長 佐藤

単独の事故で運転していた本人のけがは自賠責保険の対象にならないので、自分の任意保険の補償や健康保険で手続きできるかを確認することになります。どの補償が使えるかは契約によるので、保険会社や健康保険の窓口に確認してください。整骨院に通いたいときは、ほかの事故と同じく、まず医師に相談してください。

ユイ

事故から何日もたってから痛みが出てきた場合はどうすればいいですか?

院長 佐藤

事故のあと時間がたってから症状が出ることもあります。気づいた時点で医療機関を受診して、事故に遭ったことと、そのときの転び方を医師に伝えてください。頭を打った後に頭痛やめまい、吐き気などが出てきたときは、早めに医療機関を受診してください。

ユイ

バイクの事故でも、順番を守って、打った場所をきちんと医師に伝えることが大事なんですね。弟にも伝えます。

院長 佐藤

はい。警察へ届け出る、医療機関で医師の診察を受ける、保険会社へ連絡する、整骨院に通いたいときは医師に相談する、通院先を保険会社にも伝える。この順番を弟さんにも伝えてあげてください。

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院の案内

項目 内容
名称 らいと鍼灸・整骨院
柔道整復師 佐藤 亮 (さとう りょう)
所在地 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F
電話 03-5879-6685
施術時間 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分)
休み 日曜・祝日・水曜午後
予約 予約制
駐車場 なし (近隣にコインパーキングあり)

※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。