子どもが交通事故に遭ったら? 通院の順番と保護者が残す記録
先生、今日は子どもの事故のことで相談させてください。姉と5歳の姪が保育園から歩いて帰る途中、横断歩道で右折してきた車に姪がぶつかってしまったんです。姪は少し泣いただけで今は普通に遊んでいるそうですが、姉は不安がっています。子どもの場合、大人と何か違うことはあるのでしょうか?
驚かれたでしょう。最初の動き方は大人の事故と同じで、警察へ届け出て、医療機関で医師の診察を受け、保険会社へ連絡する、という順番です。子どもの場合に違ってくるのは、痛みや体の変化を自分でうまく伝えられないことと、保護者が付き添って通うことになる点です。今日は受診の考え方と、残しておきたい記録をお話しします。
子どもが事故に遭ったときの最初の順番
姪は元気そうなので、姉は「警察まではいいかな」と迷っているようです。子どもでも届け出は必要ですか?
はい、必要です。国土交通省は、交通事故にあった場合の警察への報告は義務で、特にケガを負った場合は「人身扱い」の届出が重要だと案内しています。警察に届け出ていない事故は、交通事故証明書 (事故があったことを公的に証明する書類) が交付されません。保険の請求にも使う書類なので、子どもの事故でも必ず届け出てください。
その場では物損事故として扱われたかもしれないそうです。
日本損害保険協会は、はじめ物損事故扱いで手続きが済んでいても、治療が必要であれば医療機関を受診したうえで人身事故扱いに切り替えてもらうことが大切だと案内しています。切り替えの理由や流れは「物損事故から人身事故への切り替えはなぜ必要? 理由と手順の順番」でまとめていますので、事故を届け出た警察署に相談してみてください。
| 順番 | 保護者がすること | 子どもの事故で気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 1 | 警察へ届け出る | 子どもが元気そうでも届け出る。けががあれば人身扱いに |
| 2 | 医療機関で医師の診察を受ける | 保護者が付き添い、事故の様子を医師に伝える |
| 3 | 保険会社へ連絡する | 相手の保険会社と、家族が入っている保険の両方を確認する |
| 4 | 整骨院への通院は医師に相談してから | 保険会社にも事前に伝え、保護者が付き添う |
子どもは痛みをうまく言えないから早めに受診する
姪は「どこも痛くない」と言っているそうです。それでも病院に行ったほうがいいのでしょうか?
はい、早めの受診をおすすめします。日本損害保険協会は、事故の直後は大したケガでないと思っても、あとから症状が出たり重いケガが分かったりすることがあると案内しています。そのうえで、小さな子どもは痛みや症状を訴えられないため、早めに検査などを受けるとよいとしています。「痛くない」の言葉だけで判断しないでください。
受診が遅れると、何か困ることがありますか?
体の面だけでなく、手続きの面でも困ることがあります。国土交通省は、事故後に速やかに受診しない場合、交通事故との因果関係 (事故が原因でけがをしたというつながり) が認められないことがあると注意をうながしています。日本損害保険協会も、受診が遅れると交通事故によるケガか判断できず、治療費などの賠償を受けられなくなるおそれがあるとしています。
病院では、保護者は何を伝えればいいでしょうか?
子どもは自分で説明しきれないので、保護者が見たことを補ってあげることが大切です。次の表のように整理しておくと伝えやすくなります。症状の出方や経過には個人差があり、子どもも同じです。気になったことは小さなことでも医師に伝えてください。
| 医師に伝えること | 子どもの場合の例 |
|---|---|
| 事故の様子 | 右折してきた車と横断歩道でぶつかった、転んで地面に手をついた |
| ぶつかった場所 | 腰の横、頭を打ったかどうか分からない |
| 事故の直後の様子 | 少し泣いたがすぐ泣きやんだ、顔色は普通だった |
| その後の様子 | 片方の腕を使いたがらない、歩き方がいつもと違う |
| 生活の変化 | 食欲、眠り方、機嫌、遊び方がいつもと違うか |
夜になって様子が気になったら、どうすればいいですか?
休日や夜間に受診するか迷ったときは、厚生労働省が案内している子ども医療電話相談 (#8000) があります。お住まいの都道府県の窓口につながる仕組みで、受付の時間帯は都道府県ごとに違います。頭を打ったあとの症状については「交通事故の頭痛やめまいが後から出たら? 最初に医療機関へ行く理由」も参考にしてください。
子ども医療証と健康保険の扱い
姪はふだん、子ども医療証を使って病院にかかっています。事故のときも同じように使えるのでしょうか?
そこは間違えやすいところです。2026年10月時点の江戸川区の案内では、子ども医療費助成の対象にならない医療費として「交通事故など第三者行為によるもの」が挙げられています。区のよくある問い合わせでも、交通事故などでけがをした場合の治療費は原則として助成の対象にならないので、医療証は使わずに児童家庭課医療費助成係に知らせるよう案内されています。お住まいの自治体によって案内が違うこともあるので、区市町村の窓口で確認してください。
では、健康保険も使えないのですか?
健康保険は使える場合があります。江戸川区の国民健康保険の案内では、交通事故などで負傷したときの医療費は原則として加害者が負担すべきものだが、第三者行為による傷病届を出すことで国保を使って受診できるとされています。その場合、区が一時的に立て替え、あとで加害者に請求する仕組みです。区は、受診する前に国民健康保険給付係へ連絡するよう求めています。
姉の家は会社の健康保険なのですが、同じでしょうか?
会社の健康保険に入っている場合は、加入先の健康保険に届け出の方法を確認してください。相手の保険会社が医療費を支払う形で進むこともあり、どの方法になるかは事故の状況や保険会社とのやり取りで変わります。保険会社への伝え方は「交通事故で保険会社に連絡するとき何を伝える? 聞かれることの一覧」も見ておいてください。
| 窓口で出すもの | 交通事故のときの扱い | 確認先 |
|---|---|---|
| 子ども医療証 | 交通事故など第三者行為によるけがは原則として助成の対象外 (江戸川区の場合) | 区市町村の医療費助成の窓口 |
| 健康保険 (国保) | 第三者行為による傷病届を出して使う。受診する前に連絡 | 区市町村の国民健康保険の窓口 |
| 健康保険 (会社の健康保険など) | 加入先の案内に従って届け出る | 加入している健康保険 |
| 相手の保険会社が支払う場合 | 進め方を保険会社に確認する | 相手の保険会社 |
保護者が記録しておくこと
姉に「記録を残しておくといい」と伝えたいのですが、子どもの場合は何を残せばいいでしょうか?
国土交通省は、記憶が薄れることがあるため、事故直後の記憶が鮮明なうちに事故の経過や写真などの記録を残しておくことが重要で、記録は賠償交渉が終わるまで残しておけば安心だと案内しています。子どもの事故では、これに加えて「子どもの様子」と「保護者の付き添い」の記録が大事になります。次の表を目安にしてみてください。
| 記録の種類 | 残しておくもの | 役に立つ場面 |
|---|---|---|
| 事故の記録 | 日時と場所、事故の様子のメモ、現場の写真、相手の連絡先と保険会社 | 警察や保険会社に説明するとき |
| 子どもの様子 | 子どもが言ったこと、痛がった場所、食欲や眠り方、機嫌の変化 | 次の受診で医師に伝えるとき |
| 受診と通院 | 受診した日、医療機関の名前、医師に言われたこと | 保険会社とのやり取り |
| 付き添い | 付き添った日、付き添った人、仕事を休んだ日や早退した時間 | 付き添いや仕事を休んだ分の確認 |
| お金 | 自分で払った医療費や薬代の領収書、タクシーの領収書、電車やバスの区間と金額 | 費用を請求するとき |
子どもの様子は、どんなふうに書けばいいですか?
子どもの言葉と、保護者が見た事実をそのまま書くのがおすすめです。たとえば「夕方に『おなかが痛い』と言った」「いつもより早く寝た」「右手でスプーンを持ちたがらなかった」といった書き方です。良かった日も「今日はいつも通り遊んだ」と残しておくと、経過が分かりやすくなります。大げさに書いたり、なかったことを書いたりはしないでください。
領収書は何でも取っておいたほうがいいですか?
日本損害保険協会は、治療費を自分で負担した場合は必ず領収書を保管し、保険会社に費用を請求するには領収書の原本が必要だと案内しています。出す前にコピーや写真を残しておくと、あとで内容を確認できます。記録の残し方は「交通事故で腰痛が後から出たら? 受診の順番と記録の残し方」でも詳しくお話ししています。
付き添いの費用と保護者の仕事の扱い
姪の通院には姉が付き添うので、仕事を休むことになりそうです。付き添いの分は、何か考えてもらえるのでしょうか?
国の自賠責保険 (車を持つ人が必ず入る保険) の支払基準には、付き添いについての決まりがあります。2020年4月1日以降に起きた事故に適用されている支払基準では、12歳以下の子どもの通院などに近親者が付き添った場合は、医師の証明がなくても通院看護料の対象とされ、近親者は1日につき2,100円とされています。入院中の看護料は、原則として12歳以下の子どもに近親者が付き添った場合に1日につき4,200円です。
姉が仕事を休んで収入が減った場合はどうなりますか?
同じ支払基準では、付き添った近親者に休業損害 (仕事を休んだことで減った収入) が出て、立証資料などで基準の額を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とするとされています。休んだ日の記録が大切になるのはこのためです。ただし、これは自賠責保険の基準での話で、実際にどう扱われるかは事故の状況や過失割合、保険会社とのやり取りによって変わります。具体的には保険会社に確認してください。
| 自賠責保険の支払基準 (2020年4月1日以降の事故) | 内容 |
|---|---|
| 通院の付き添い (12歳以下の子どもに近親者が付き添った場合) | 医師の証明は不要。近親者は1日につき2,100円 |
| 入院中の付き添い | 原則として12歳以下の子どもに近親者が付き添った場合、1日につき4,200円 |
| 付き添った人の休業損害 | 立証資料などで基準の額を超えることが明らかな場合は必要かつ妥当な実費 |
| 通院の交通費 | 必要かつ妥当な実費 |
付き添う日を増やしたほうが得になる、ということはありますか?
そういう考え方はやめてください。通院は、子どもの症状に応じて医師が必要と判断した分だけにします。慰謝料の計算の仕組みは「交通事故の慰謝料は自賠責基準でどう計算する? 通院日数と期間の仕組み」で説明していますが、通院の回数は記録や費用のために増やすものではありません。示談や賠償額で迷ったときは、弁護士や日弁連交通事故相談センター、お住まいの自治体の交通事故相談所に相談してください。
子どもが整骨院に通うことを考えるとき
もし姪が首や肩を痛がるようになったら、整骨院に連れて行ってもいいのでしょうか?
その場合も、まず整形外科や小児科などの医療機関で医師の診察を受けてください。日本損害保険協会は、医療機関以外ではレントゲンなどの画像検査ができない場合があるため、整骨院などでのリハビリを希望するときは医師と相談のうえにするのがよいとしています。整骨院では画像検査はできず、体の状態を判断するのは医師です。
医師に相談したあとは、どう進めればいいですか?
医師に整骨院への通院を相談し、保険会社にも事前に伝えてから通い始めるのが基本です。骨折や脱臼がある場合、柔道整復師が施術するには、応急手当を除いて医師の同意が必要だと柔道整復師法で決められています。子どもの通院には保護者が付き添い、整骨院に通った日もご家族の記録に残しておいてください。併用の進め方は「交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点」にまとめています。
小学生の子が自転車に乗っていて事故に遭った場合も、同じ考え方でいいですか?
受診と記録の考え方は同じです。ただ、相手が車か自転車かによって使える保険が変わるので、「自転車事故で整骨院に通う前に 相手別に使える保険と通院の流れ」もあわせて読んでみてください。
よくある質問
子どもが事故のあと元気にしていても、受診したほうがいいですか?
はい、早めに医療機関で医師の診察を受けてください。日本損害保険協会は、小さな子どもは痛みや症状を訴えられないため、早めに検査などを受けるとよいと案内しています。受診のときは、事故の様子とその後の子どもの様子を保護者から医師に伝えましょう。
交通事故のけがでも、子ども医療証は使えますか?
江戸川区の案内では、交通事故など第三者行為によるけがの治療費は、原則として子ども医療費助成の対象になりません。医療証は使わずに、区の医療費助成の窓口に知らせるよう案内されています。他の自治体にお住まいの場合は、その自治体の窓口で確認してください。
保護者が通院に付き添った日も、記録しておいたほうがいいですか?
はい、付き添った日と付き添った人、仕事を休んだ日を記録しておくと安心です。自賠責保険の支払基準には、12歳以下の子どもの通院に近親者が付き添った場合の決まりがあります。実際にどう扱われるかは事故の状況などで変わるので、保険会社に確認してください。
子どもを整骨院に連れて行く前に、何をしておけばいいですか?
まず医療機関で医師の診察を受け、整骨院への通院について医師に相談してください。そのうえで保険会社にも事前に伝えておきます。骨折や脱臼がある場合は、応急手当を除いて医師の同意が必要です。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。



