交通事故で整骨院と整形外科を併用する正しい順番と注意点
先生、先週の朝、通勤中に信号待ちをしていたら後ろから車にぶつけられてしまいました。その場では平気だったのに、翌々日あたりから首が重くなってきて不安です。整骨院に通いたいのですが、整形外科とどちらに行けばいいのでしょうか?
それは大変でしたね、まずは落ち着いて順番に確認していきましょう。事故のあとは、痛みが少し遅れて出てくることもあります。整骨院と整形外科は、どちらか一方を選ぶというより、役割を分けて併用していくものです。ただし、その前に済ませておきたい手続きがあるので、そこから一緒に見ていきます。
事故直後に不安なときに知っておきたいこと
事故に遭ったのが初めてで、何から手をつければいいのか分からないんです。相手の保険会社から電話も来ていて、焦ってしまって。
初めてなら分からなくて当然です。大事なのは、手続きを「正しい順番」で進めることです。順番を飛ばすと、あとで保険会社とのやり取りがうまくいかなくなることがあります。この記事でお伝えする順番は、警察、医療機関、保険会社、整骨院の4つです。
整骨院に行くのは最後なんですね。先生の院なのに、意外です。
はい、整骨院は最後です。けがの状態を判断する「診断」は医師にしかできませんし、保険の手続きも医療機関の記録が土台になります。整骨院にできるのは、医師の診察を受けたうえで、その方針に沿って施術を行うことです。読者の方に損をしてほしくないので、この順番はとても大切にしています。
事故から整骨院に通うまでの正しい順番
4つのステップを、もう少し具体的に教えてもらえますか?
表にすると次のようになります。それぞれのステップで「誰に」「何を」するのかを押さえておくと、迷いにくくなります。
| ステップ | 相手 | やること | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 警察 | 事故を届け出る。けががあれば人身事故として扱ってもらう | 交通事故証明書の交付や保険の請求の前提になる |
| 2 | 整形外科などの医療機関 | 医師の診察を受け、必要に応じて画像検査を受ける | けがの状態の診断は医師が行う。事故との関係を記録に残す |
| 3 | 保険会社 | 事故の報告と、通院先 (整骨院を含む) の連絡をする | 費用の支払い方法や必要書類を確認する |
| 4 | 整骨院 | 医師に相談したうえで施術を受ける | 医師の方針と保険会社の確認を前提に通院する |
ステップ1 警察への届け出と交通事故証明書
警察には、その場で連絡しました。でも、ぶつかった直後は痛くなかったので「けがはないです」と言ってしまったんです。大丈夫でしょうか?
国土交通省は、交通事故にあった場合の警察への報告は義務であり、特にけがを負った場合は「人身扱い」の届出が重要だと案内しています。あとから痛みが出たときは、医療機関で診察を受けたうえで、事故を届け出た警察署に相談してみてください。人身事故への切り替えの手続きは警察署の案内に従います。
「交通事故証明書」という言葉も聞いたのですが、それは何ですか?
事故があったことを公的に証明する書類で、自動車安全運転センターが交付しています。国土交通省も、自賠責保険 (車を持つ人が必ず入る保険) の請求などで必要になるので、早めに交付を受けるよう案内しています。警察への届け出がないと、この証明書の土台がなくなってしまいます。
ステップ2 整形外科などの医療機関で医師の診察を受ける
次が整形外科ですね。首が重いくらいでも、病院に行ったほうがいいのでしょうか?
はい、症状が軽く感じても、まずは整形外科などの医療機関で医師の診察を受けてください。国土交通省は、事故後に速やかに受診しない場合、交通事故との因果関係が認められないことがあると注意をうながしています。レントゲンやMRIなどの画像検査も、医療機関で受けるものです。
医師には、どんなことを伝えればいいですか?
事故の状況、いつから、どこが、どう痛むかを、できるだけ具体的に伝えてください。痛む場所を言い忘れると、あとからその部位の記録がないことになりかねません。そのうえで「整骨院での施術も受けたいと考えている」と相談しておくと、次のステップに進みやすくなります。
整形外科と整骨院の違いと併用のしかた
そもそも、整形外科と整骨院は何が違うのですか?
いちばん大きな違いは、そこにいる専門職と、できることの範囲です。整形外科には医師がいて、診断や画像検査、薬の処方を行います。整骨院には柔道整復師という国家資格者がいて、手技などによる施術を行います。
| 比べる点 | 整形外科 (医療機関) | 整骨院・接骨院 (施術所) |
|---|---|---|
| 担当する人 | 医師 | 柔道整復師 |
| けがの診断 | 行う | 行わない (診断は医師が行う) |
| 画像検査 (レントゲン・MRI) | 行う | 行わない |
| 薬の処方・注射 | 行う | 行わない |
| 診断書 | 医師が作成する | 作成できない |
| 主に行うこと | 診察、検査、投薬など | 手技による施術、固定など |
| 骨折・脱臼 | 対応する | 応急手当を除き、医師の同意が必要 |
骨折や脱臼のところに「医師の同意が必要」とありますね。
柔道整復師法第17条で、柔道整復師は医師の同意を得た場合のほか、脱臼や骨折の患部に施術をしてはならないと決められています。ただし、応急手当をする場合は別です。ですから骨折や脱臼が疑われるときは、なおさら整形外科での診察が先になります。
併用するときは、どんなふうに通えばいいのでしょうか?
一般的には、整形外科で定期的に医師の診察を受けて経過を確認してもらい、その間の施術を整骨院で受ける、という形になります。整骨院だけに通って整形外科に行かなくなると、医師による経過の記録が途切れてしまいます。症状の経過には個人差があるので、通院の頻度は医師と相談しながら、症状に応じて必要な分だけにしてください。
保険会社への連絡と費用の仕組み
保険会社には、いつ、何を伝えればいいですか?
事故の報告と、通っている医療機関の名前は早めに伝えます。整骨院にも通いたい場合は、通い始める前に「整形外科の医師に相談したうえで、整骨院にも通いたい」と連絡してください。連絡なしに通い始めると、施術費の扱いについて保険会社と話がこじれることがあります。
費用は、誰が払うことになるのでしょうか?
相手がいる事故で、自賠責保険の対象として認められた費用は、加害者側の保険から支払われるのが一般的です。ただし、対象になるかどうかは事故の状況や過失の割合、医師の判断、保険会社とのやり取りで変わります。整骨院の施術費も、この条件の中で個別に判断されます。
自賠責保険には上限があると聞きました。
国土交通省によると、自賠責保険の傷害による損害の支払限度額は、被害者1人につき120万円です。治療費は「治療に要した、必要かつ妥当な実費」が支払われるとされています。この限度額の中には、治療費のほかに通院交通費なども含まれます。限度額をこえる部分の扱いは、相手の加入している保険の内容などで変わるため、保険会社に確認してください。
| 項目 | 内容 (2026年10月時点、国土交通省の案内による) |
|---|---|
| 傷害による損害の支払限度額 | 被害者1人につき120万円 |
| 治療費の考え方 | 治療に要した、必要かつ妥当な実費 |
| 被害者請求 | 加害者側から賠償が受けられない場合、加害者側の保険会社に直接請求できる |
| 請求の期限 (傷害) | 事故発生の翌日から3年以内 |
期限もあるんですね。知らないと困るところでした。
国土交通省は、自賠責保険は3年で時効となり、請求する権利が消えると案内しています。通常は保険会社が手続きを進めてくれることが多いですが、「自分の請求の期限はいつまでか」は一度確認しておくと安心です。
よくある誤解と注意点
ほかに、気をつけておくことはありますか?
よく見かける誤解を表にまとめます。どれも、あとで困らないためのものです。
| よくある誤解 | 実際のところ |
|---|---|
| 整骨院だけに通えばよい | まず医療機関で医師の診察を受け、その後も定期的に通うことが大切 |
| 痛くなってから病院へ行けばよい | 受診が遅れると、事故との因果関係が認められないことがある |
| 保険会社への連絡はあとでよい | 整骨院に通い始める前に連絡しておくと、話がこじれにくい |
| 自賠責保険はどんな場合も使える | 事故状況や過失割合、医師の判断などで変わる |
| 通院回数は多いほどよい | 通院は症状に応じて必要な分だけにする |
示談や慰謝料のことも心配なのですが、先生に相談してもいいですか?
整骨院では、示談の交渉や具体的な賠償額についてのアドバイスはできません。そうした法律の問題は、弁護士や公的な相談窓口が担当です。たとえば日弁連交通事故相談センターでは、自動車事故の民事上の問題について、電話や面接、オンラインで弁護士に相談できます。お住まいの自治体の交通事故相談所も窓口の一つです。
よくある質問
整形外科に行く前に、整骨院に先に行ってもいいですか?
おすすめしません。けがの診断は医師が行うもので、整骨院では画像検査もできません。まず整形外科などの医療機関で医師の診察を受け、医師に相談したうえで整骨院に通う順番にしてください。
整形外科と整骨院に、同じ日に行ってもいいのでしょうか?
同じ日の通院が問題になるかどうかは、医師の方針や保険会社の扱いによって変わります。決まった答えはないので、医師と保険会社に確認してから決めてください。整骨院でも、通院の予定は医師の方針に合わせて相談しながら組み立てます。
通勤中の事故だったのですが、労災保険も関係しますか?
通勤中の事故は、労災保険の対象になる場合があります。厚生労働省は、自動車事故のとき労災保険と自賠責保険のどちらを先に受けるかは被災者が選べると案内しています。ただし、同じ損害について二重に受け取ることはできないので、勤務先や労働基準監督署、保険会社に相談して進めてください。
途中で整骨院を変えたくなったら、どうすればいいですか?
通院先を変える場合も、先に保険会社に連絡してください。あわせて、整形外科の医師にも伝えておくと、経過の記録がつながります。
順番が分かって、少し気持ちが落ち着きました。まずは整形外科に行って、医師に相談してみます。
それがいちばんの近道です。警察、医療機関、保険会社、整骨院の順番を守れば、あとで困ることを減らしやすくなります。整骨院に通うことになったら、痛みの状態を確認しながら施術を行いますので、気になることは遠慮なく聞いてください。
院の案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | らいと鍼灸・整骨院 |
| 柔道整復師 | 佐藤 亮 (さとう りょう) |
| 所在地 | 東京都江戸川区東小松川2-11-9 KYSビル1F |
| 電話 | 03-5879-6685 |
| 施術時間 | 午前 8時30分〜12時30分 / 午後 15時00分〜20時00分 (土曜は 8時30分〜14時30分) |
| 休み | 日曜・祝日・水曜午後 |
| 予約 | 予約制 |
| 駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
※この記事は交通事故後の一般的な流れを説明するものです。症状の判断は医師に、保険の取り扱いは加入先の保険会社に、示談や賠償額は弁護士などの専門家にご確認ください。制度の内容は記事作成日時点のものです。


